縮小する被災者への支援策(前編)--福島市やいわき市、郡山市、福島県広域連合が医療費免除打ち切り

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縮小する被災者への支援策(前編)--福島市やいわき市、郡山市、福島県広域連合が医療費免除打ち切り

東日本大震災の被災地では、10月1日以降の医療・介護費の自己負担の免除措置に関して、地方自治体や保険制度間で格差が発生することがわかった。

震災で住宅の全半壊など大きな被害を被った住民や原発事故で避難を余儀なくされた住民に対しては、医療や介護にかかった自己負担の全額を免除する支援策が震災発生直後から1年半にわたって続けられてきた。

しかし、多くの被災者の生活再建が道半ばであるにもかかわらず、厚生労働省は、国民健康保険(国保)や後期高齢者医療、介護保険の一部負担金(利用者負担金)の免除に必要な財源の全額を補助する支援措置を、原発事故避難者向けを除いて、9月末で終了する。

10月以降は自治体の判断で免除を続けた場合に限り、必要額の8割を補助する仕組みに切り替える(ただし国保や介護保険では免除総額が一部負担金の総額の3%以上となる場合に限る。3%未満の場合は免除に必要な全額が自治体の負担となる。後期高齢者医療制度では国の支援は同1%以上の場合に限る)。

だが、免除継続の際、残る2割分が自治体の負担となることを理由に、免除措置を打ち切る自治体が福島県内で続出。福島市や郡山市、いわき市など26市町村が国保の一部負担金の免除を9月末で取りやめる(表参照)。


■被災3県での医療・介護保険料減免、利用者負担免除対象者数[+表をクリックで拡大]


■支援の格差が鮮明に(医療、介護保険料免除と利用者負担金の減免状況)[+表をクリックで拡大]


 福島県内では10月以降も国保の一部負担金の免除を継続する自治体が南相馬市や相馬市、須賀川市など16市町村にとどまる一方、宮城県や岩手県内ではすべての市町村が県の支援や自主財源を元に2013年3月末まで免除を続ける。

75歳以上が加入する後期高齢者医療では、宮城県や岩手県の後期高齢者医療広域連合が13年3月末まで一部負担金の免除措置を継続するのに対して、福島県広域連合は、74歳までの住民が加入する国保の免除継続で市町村の足並みがそろわなかったことを理由に、加入者への免除措置を9月末で打ち切る。

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