原子力規制委員会が発足、どうなる原発再稼働
「原発への安全性の信頼が失墜した中でのスタート」「大変厳しい船出」。原子力の規制を担う原子力規制委員会と、その事務局である原子力規制庁が9月19日発足した。同日行われた発足式では、田中俊一委員長はじめ委員が口々に厳しい状況での出発であるとの認識を示した。
従来、原発にかかわる規制は経済産業省の原子力安全・保安院が担ってきた。が、福島第一原発事故後、原発推進役である経産省が規制も行うことへの批判が続出。そこで環境省の外局に、公正取引委員会と同じ独立性の高い「3条委員会」として規制委が設立された。規制庁には、保安院や内閣府原子力安全委員会、文部科学省の原子力関連部門から約500人が片道切符で異動した。
規制委は今春発足する計画だったが、“原子力ムラ”から独立した組織のあり方などをめぐって与野党間の調整が難航。原発事故から1年半を経て、ようやく新たな原発規制体制が始まることになる。
規制委がまず取り組むことになるのが新しい安全基準作りだ。これまで、再稼働については政府が今春策定した「暫定基準」に基づき、保安院と原子力安全委が安全性を認めた後、地元の同意を経て最終的に政府が判断するようになっていた。新しい安全基準ができ上がれば、原発の再稼働もそれに従うことになる。
泊原発再稼働が焦点に
政府にとっては規制委の発足で、少なくとも再稼働に向けた体制は整った。ただし、それで早期の再稼働が可能になるということではない。
基準作りは「きちんとやれば、そうとう時間がかかる」(政府関係者)。発足式後の会見で田中委員長は「急ぎはするが、(年内は)非常に難しいかもしれない」と認めている。
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