鈴木敏文が「コンビニの玉座」から降りた日 セブン&アイHD会長が電撃引退へ

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会見中、天を仰ぎ、目をぬぐう場面も見られたセブン&アイHDの鈴木敏文会長兼CEO。日本にコンビニを根付かせ、同社を世界有数の流通企業に育てた。こうした形で会社を去ることに何を思うのか

まさに急転直下の展開だったーー。

4月7日、セブン&アイ・ホールディングス(HD)は鈴木敏文会長兼CEO(最高経営責任者)が退任すると発表した。同日午前に行われた取締役会で、鈴木会長が提案するセブン-イレブン・ジャパンの井阪隆一社長を交代させる人事案が成立しなかった。全取締役15人のうち7人の賛成しか得られなかったことで、鈴木会長は自らが信任を得ていないと判断し、退任する運びとなった。

退任を決意したことで、出席予定のなかった2016年2月期決算会見に急きょ出席することになった鈴木氏。会見での一問一答は以下の通り。

井阪君の発言には、ものすごくがっかり

――具体的に引退を決意したのはいつなのか。今日役員会が開かれているが、そこではセブン-イレブンの人事案が否決された。どんなやり取りがあったのか。

鈴木会長:役員会の席で井阪社長も発言した。いかにも「1人でやってきました」というような発言だった。ものすごくがっかりした。この役員会に出席しないセブン-イレブン・ジャパンの役員も、「よくそんなことが言えたもんだな」と言っていた。

今の井阪君を信任して、私がやっていくということは、かえって将来に対して禍根を残すことになる。私は役員会が終わったあと、急きょ、村田君にも集まってもらって、「今日引くよ、記者会見するよ」と言った。

みんなびっくりしていました。引き留めてくれたけど、7~8年間最高益でやってきた。新年度(2017年2月期)も最高益を出せるだろうと思いました。お荷物といわれたイトーヨーカ堂も、なんとか見通しが立てられるような状態に向きつつある。そういう意味では私は逃げ出すわけではない。自分で十分納得できた。

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