しまむら、V字回復の理由は「値上げ」にあった

デフレの勝ち組の変革は今期も成功するか

しまむらの野中正人社長は「単純な値上げはしないが、高価格の商品を増やしていく」と説明した

カジュアル衣料大手、しまむらがV字回復している。

2014年2月期と2015年2月期に上場来初めて2期連続減益に落ち込んだが、2016年2月期の連結業績は、営業利益が前期比8.4%増の399億円と、3年ぶりに営業増益に転じた(売上高は同6.7%増の5460億円)。2017年2月期には過去最高益となる、同15.8%増の462億円を見込んでいる。

かつて「デフレの勝ち組」と称され、低価格衣料を強みに成長してきたしまむらは、消費増税後に競合他社が相次いで値上げする中でも、低価格路線を維持。結果として、ベーシック商品を中心にアイテム数が増え、不良在庫の値下げ処分が増加、粗利率の悪化で業績が下がる悪循環だった。

それを断ち切った要因が、「商品開発と品ぞろえの変革を進めた」(野中正人社長)こと。2015年の秋冬シーズンに売り出しヒットした「裏地あったかパンツ」には、高品質のプライベートブランド(PB)「クロッシー」のタグがつく。見た目は普通のパンツだが、裏地に起毛素材を使い、重ね履きしないでも暖かいというのが売りである。

1000円値上げでも110万本売ったパンツ

真骨頂は価格だ。3900円の値付けは、通常のパンツ類の「しまむら価格」である1900円に対して“高価格”。この商品は2014年シーズンに2900円で発売しており、2015年は3割=1000円値上げした格好である。そもそも2014年当初も「現場からは2300円でないと売れない」との声が大きかったが、野中正人社長がこれを一蹴。「こだわりを持ってやれば売れる」との信念で、2015年秋冬に用意した110万本は、値下げをほぼすることなく売り切った。60万本を用意した2014年を上回る大型ヒット商品になった。

この商品こそ、しまむらV字回復の牽引役であり、次の成長を狙う試金石だ。

しまむらはこれまで少量多品種のトレンド商品を中心に、「売り切りご免」で追加生産しないモデルで成長してきた。だが、アイテム数の多さと商品の安さだけでは、消費者が飛びつかない時代に移行。野中社長が考えたのが、裏地あったかパンツのような、単品で大量に売れるコア商品の育成である。アイテム数は減らし、1モデルあたりの数量を増やすことで管理レベルが上がり、価格競争もつけられ、調達コストも下がるとの算段だ。野中社長は今後も「商品価格を上げる傾向でやっていく。単純な値上げはしないが、高価格の商品を増やしていくと、結果として単価が上がる」と自信を見せる。

一方で店舗数はグループで2000店を突破。日本の小売りでは他社を圧倒する規模だ。ただ店舗数の増大によって、仕入れを担当する「バイヤー」と商品管理を担当する「コントローラー」の間に、綻びも生じ始めていた。商品部長がバイヤーとコントローラー両方を1人で管轄していたため、増え続ける店舗に目が行き届かなくなっていたのだ。そこで、それぞれの役割に専念させるため、部長の機能を分離し、各部長の責任も大きくした。仕入れや在庫管理、店舗間移動、売価変更などの仕組みによって、大量の商品を売り切るモデルが再び強化されてきた。

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