職場の「ミスマッチ人材」は、こうして決まる サイバーが掲げる実力主義型終身雇用とは何か

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――外資系企業の中には、組織に新陳代謝を促すために、相対評価で下位15%程度を目安に退職勧奨をしているところがあるが、これとは違う?

まったく違います。外資系企業から学ぶことはあっても、制度をコピーしているわけではない。完全にオリジナルなものであり、同じような扱いにされては困る。

そもそも、さまざまな会社がある中で、外資系という言葉でひとくくりにするのも私はいいとは思わないです。その会社の方針とかビジョンに一貫性があるかどうかが大事で、制度を部分的に切り出してみても仕方ない。制度の良しあしを議論することは不毛だと思います。

ただ、社員に厳しい対応を迫る場面で、ある会社は、パフォーマンスや成果だけで判断しているのは事実です。私たちの場合はそうではなく、最優先で考えるのは、あくまで価値観。

たとえパフォーマンスが相対的に低かったとしても、能力に合った給与をお支払いする形で、チームとして一丸となってもらえれば、僕らは認めていくというスタンスです。数字を求めることについては2番目にすぎない。一部の外資系の会社にみられるような、成果が出ないから早く切っていこうという考え方ではありません。

日本人は、周囲との信頼関係を重視

――成果のみを判断材料とするやり方については、どう思いますか。

たとえば、外資系企業であるGEやP&Gは、ジョブディスクリプションによって、それぞれの職務が明確になっています。また、ビジネスモデルも非常にクリアに作られているため、そこに当てはめられた専門能力や、リーダーシップをどう発揮するかということが重要視されている。それは百何十年の経験の中で積み重ねてきた人事制度であって、合理的なものだと思います。

しかし、人間を感情の動物としてマネジメントするには、非常に難易度が高い。特に日本においてはかなり厳しいのではないでしょうか。

――日本の労働者の特徴とは?

日本は、チームプレーや調和、周囲との信頼関係を非常に重視する国民性だと私は理解しています。それがうまくいくと、個々人の才能が発揮されやすいと思うんですよ。

そこで、われわれが標榜しているのが「実力主義型終身雇用」。つまり、抜擢は実力主義でするけれども、会社と価値観が一致していれば終身雇用をする。これがセットになっていることが大事なのです。しかし、そういう会社ってあまり存在しませんよね。いろいろな人から、「両方セットになんて、できるの?」と言われたりしますが。

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