フジテレビ「15時間生放送」が示す本当の危機 民放は減っていくパイを奪い合うだけなのか

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各局とも人気芸人やジャニーズ事務所のアイドルを起用して若年層を取り込もうとしていますが、その効果は極めて限定的。「好きなものを好きなときに見られる」便利で情報の豊富な時代では、好きなタレントがテレビ出演していたとしても若年層にとっては1つの情報に過ぎず、「どうしても見なければいけないわけではない」とクールな目で見ているのです。

先日、ある大学生のグループと話していたとき、「最近のテレビってずっと似たようなネタばかり放送していて、CSのニュースチャンネルみたいで面白くない」という発言に驚かされました。大学生たちの目には、民放各局が朝から夕方まで放送している情報番組が、CSの『日テレNEWS24』『TBSニュースバード』のようなニュース専門チャンネルと同じものとして映っているのです。

大学生たちがそう感じるのは、MCやコメンテーターの顔とキャラクターが違うだけで、どの局のどの番組も扱うネタが似ているから。大学生たちは、「包み紙を変えているだけで、中身はだいたい同じものなんでしょ」と言いたかったのではないでしょうか。それでは番組という商品を買ってもらえないのは当然です。

『ZIP!』に潜む視聴者ニーズ

テレビが「高齢者のメディア」と呼ばれないために求められるのは、やはり多様性。報道・生活情報の“専門チャンネル”になるのではなく、バラエティー、音楽、映画、スポーツ、アニメ、ドキュメンタリー、教養など、さまざまな番組が見られる“総合チャンネル”であることを改めて示すべきときが来ている気がします。

2月の月間視聴率で『ZIP!』(日本テレビ系)が初めて『めざましテレビ』(フジテレビ系)を上回り、民放トップの座に輝きました。『ZIP!』の特徴は、報道・生活情報の中に、お笑いのネタ、アニメ、クイズ、料理などのコーナーを入れて、多様性のある番組作りをしていること。朝の忙しい時間帯のためか、各コーナーは1~3分程度でサラッと見られるようにしていますが、昼・午後・夕方の放送であれば、15分・30分・60分の番組も可能でしょう。

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