砂丘らっきょうの魅力を解き明かす JA鳥取いなば
こうした際立った農産物の隠された実力を数字で再発見しつつ、日本の本当の“農力”について魚住りえさんと探っていく。
(2016年4月1日掲出)
鳥取砂丘の隣に広がる畑は36万坪超
鳥取県鳥取市の日本海海岸に広がる鳥取砂丘。山陰海岸国立公園の特別保護地区に指定され、南北2.4 km, 東西16 kmに広がる砂丘である。国の天然記念物としても広く知られる、この鳥取砂丘がある福部町は、らっきょうの日本有数の産地という顔も持つ。
2016年3月10日、この福部町でつくられている砂丘らっきょうが、地域の農産物ブランドを国が保護する地理的表示(GI)に「鳥取砂丘らっきょう・ふくべ砂丘らっきょう」として登録された。地域の農産物発展の起爆剤になると期待されるGIに認められたことで、今後「砂丘らっきょう」のブランド力をさらに全国的に高めようと関係者らは思いを新たにしているようだ。
今回、そんな「砂丘らっきょう」の魅力を探るべく、春の訪れを迎える福部町に赴いたのが、アナウンサーとして活躍し、『たった1日で声まで良くなる話し方の教科書』(東洋経済新報社刊)がベストセラーになっている魚住りえさん。
らっきょうが好きという魚住さんだが、「でも、考えてみたら、砂丘らっきょうって、どんな特徴があるんだろう?」と一言。そんな疑問を持った魚住さんがまず話を聞きに行ったのが、JA鳥取いなば代表理事組合長の谷口節次さんだ。
「砂丘らっきょうは、文字通り、鳥取砂丘の一部である丘陵地の砂丘でつくられています。そもそもらっきょうは、砂丘地や荒廃地などのやせた土地で育つという特徴を持っています。中でも、鳥取砂丘は寒暖の差が激しく、突風も吹けば、冬は雪がしっかり積もる。そのため球がギュッとしまっていて、透き通るような白さ、シャキシャキとした食感が育まれるのです」
「砂丘らっきょう」というブランドを育てていくのも大切な仕事ですね。そんな魚住さんの問いに、谷口さんは次のように答える。
「何より砂丘らっきょうの栽培は手間がかかります。陽光が容赦なく照り付ける真夏に、植え付けを専門に担当する『植え子さん』たちが、一反(約10a)を3人で1時間程度を目安に植え付けていきます。福部のらっきょう畑は全体で約120haありますから、約36万3000坪相当もある広大な土地です。そのためローテーションを組んでも、何日もかかる。それだけ手間がかかる商品なのです。今回、GIに登録されたことで、地元の生産者さんのご苦労に報いるべく、よりブランド力が高められるように私たちもがんばりたいと思っています」