特攻隊振武寮 大貫健一郎、渡辺考著

特攻隊振武寮 大貫健一郎、渡辺考著

沖縄に向け知覧を飛び立った特攻機は、敵艦に突っ込むか敵機に撃墜されるか二つに一つ、のはずだった。そもそも片道分の燃料しか積んでいないのだから。だがエンジン不調や機体損傷で奄美列島に不時着するものも少なくなかった。

そのようにして生き残った帰還兵大貫健一郎少尉の生涯が、NHKのドキュメンタリーとして放送された。それを再構成した本書は特攻隊の一部始終と本質を見事に描き出している。

自らと特攻仲間、上官たちの言動が率直に語られ、渡辺考ディレクターによる戦況や戦略戦術の解説も明快だ。片道切符の特攻隊員は飛び立てば即、戦死公報の対象となる。だから不時着隊員の生存はあってはならないことだった。

彼らは福岡の振武寮に集められ参謀から苛め抜かれる。計器も無線も機銃も、そしてろくな訓練もなく「行けば何とかなる」と言われて送り出された隊員たち。特攻を美化することの無責任さが浮かび上がる。(純)

講談社 1890円

楽天で見る

関連記事
トピックボードAD
人気連載
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • いいね!

※過去48時間以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※週間いいね数のランキングです。

トレンドウォッチAD
ジリ貧からの脱却<br>リース反攻

リース取扱高は10年で4割減少。伸び悩む設備投資、低迷する利ザヤ、規模拡大の限界…三重苦にあえぎ、かつての市場規模は望めない。リース大手3社トップが語る生き残り策。