希29歳の春、遠くなった故郷に思いをはせる 10代で出会った僕らも、あと少しで30歳
北海道大学を卒業したのち東京の会社を中心に就職活動をし、渋谷にあるとあるインターネット企業に就職した北原希(きたはらのぞみ)。
会社で仲の良い友人もできて、東京での第一歩を歩み始める。合コンや、「東京の人だけがわかる店」の名前など、いくつかの試練? を乗り越え成長していく希。地元の恋人まぁくん、東京(調布)の男・二階堂との別離を経験した希は、すべてを持っている大人な男性。港区出身の兵藤と交際をスタートさせたが……
3年ぶりの彼女からの電話…
昨日、希から久しぶりに連絡がありました。
「まぁくん、元気? 彼女できた?」
彼女からの連絡は3年ぶりでしょうか?
中学の卒業式に告白して付き合ってからというもの、僕と希は、腐れ縁のように、別れたり付き合ったりを繰り返していたからこそ、この長いブランクの後の連絡が、意味するところが分かりました。
希は、昔から、僕が誰かと付き合いだしたり、彼女が恋人と別れた頃に、連絡をしてきますから、今回も、きっと、恋人と別れたのだろうと思いました。そして、そのぽっかりと空いた隙間に気まぐれに僕を思い出したのだろうと。
「彼氏と別れたんだ」
想定通り、そう言った彼女のセリフからは、悲しみに混じって、少しの甘えと打算が顔を覗かせていました。
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