上司が「お気楽」なほど、組織は活性化する 優れたリーダーはゆるい管理で部下を伸ばす

拡大
縮小

解説Ⅰ チェックするのは職場ミーティングで

宇貝課長のPDCAサイクルの回し方には、2つの問題があるようです。第1は、チェック&アクションを課長が実施し、部下たちに自らのチェック&アクションを促していないこと。それによって、部下の職場成果への責任感を下げてしまっています。

第2には、計画通りに実施することの是非を考えずにチェック&アクションをしていること。その結果、無意味に計画にこだわることになってしまっています。

これらの問題を解消するためには、チェック&アクションを職場ミーティングで行うこと、その過程で、期首に作成した計画の良し悪しをも検討することの、2つの留意点が必要です。このことを意識するためには、PDCAと考えるよりも、Plan、Do、Seeと考えるほうが良いでしょう。

予算達成しか考えていない?

宇貝の悩み②:みんなアイデアを出さない

宇貝:上司の本音が分からないと、部下は意見を言わなくなる。先輩はそう言いたいんですね。

中嶋:ご名答!

宇貝:そういえば、部下からアイデアや提案は出てきません。期首のミーティングでは活発に意見が出ていましたが。

中嶋:君自体が受動的だから、部下も受け身になるんだよ。

宇貝:???? 私は積極的に意見を出していますが。

中嶋:君は「予算達成」だけを考えてるだろう。将来に向けて今期の予算が持つ意味などは自ら考えていないし、部下にも伝えていないだろう。

宇貝:?????

解説Ⅱ 受動的積極性の罠

仕事をする上では、積極性は重要な要素です。そのときに、「受動的な積極性」と「能動的な積極性」の区別をすることが大切です。受動的な積極性は、課題を与えられれば積極的に取り組むというものです。ゲージで飼われている鶏が、餌を与えられれば積極的に食いつくようなイメージです。

能動的な積極性は、自ら課題を作り出していく積極性です。上司に働きかけて方針作りに参加し、仕事の文脈を作り出す積極性。野原に放たれた鶏が餌を探して動き回るようなイメージです。

受動的積極性の高い管理者がやみくもに前向きになると、部下はストレスを感じて受動的になり、やがて消極的になると考える必要があります。

次ページ「一生懸命」が通じない理由
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT