【新規上場企業・社長インタビュー】クックパッド・佐野陽光「毎日の料理を楽しくするのが役目です」
Q: 初値は1万9100円と、公開価格9500円の2倍を超えました。株価についての感想は。
A: 公開前に機関投資家を訪問する中で、とても期待してもらっていると感じていた。株式市場で株価がついて、改めてやる気が出てきた。投資家はもちろん、利用者、広告主のために邁進したいと考えている。
Q: 厳しい市場環境の中で、株式を公開した理由を。
A: 社会的な信頼・信用を獲得するのが第一の理由だ。成長を加速するうえでは会社に対する信頼が重要だが、非公開のベンチャー企業が初めての相手から信頼を得るのはとても大変。新しく取引を始める場合、いくら680万人の利用者がいるサイトだからと言って、簡単には相手にしてもらえない。上場企業と非上場企業ではまるで扱いが違う。
また、男性に対する認知度を上げたいというのも理由の一つ。クックパッドは料理レシピのサイトなので、利用者の大半が20~30代の女性だ。一方で、とりわけビジネス上で意思決定を行う立場に多い、年齢の高い男性には知られていない。ビジネスの現場ではクックパッドを理解してもらっていても、いざ決断の段階となると知名度の低さがマイナスになってしまう。上場することでこういった層への信用度を上げたい。
さらに挙げれば、採用面でのメリットもある。やはり上場企業に就職するのと未上場ベンチャーに就職するのでは、本人、そして家族にとって安心感が違う。こういった点で上場は非常に重要な意味がある。
Q: サービスを開発する上で常に心がけていることは?
A: 利用者にとって料理が楽しくなっているかどうか、これをいつも社内で徹底的に議論している。直近では、携帯電話向けのサイト「モバれぴ」の利用が伸びている。やはり、料理をするためにパソコンをいちいち開くのは面倒なときもあると思う。