三菱自動車「貧者の戦略」、瀬戸際からEV一番乗り

拡大
縮小


 三菱のEVを“見捨てた”ダイムラーも米国ベンチャー、テスラに10%出資し、VWは携帯向けリチウムイオン電池のトップ企業、中国BYDと手を組んだ。中国自動車大手の長城汽車は7万元(95万円)の電気自動車を作ると気炎を上げている。

「モノが出てこないと、コメントのしようがない」と橋本室長。「車は10年間安心して使えることが前提。10年経って何が起こるか。ベンチャーはそれを考えているのか」。アイ・ミーブは5年保証だが、10年15万キロメートル走っても電池の蓄電量は7%しか劣化しない。そこまでEVシステムを磨き上げている。

敵が物量作戦で来ようが、安値攻勢に訴えようが、三菱自動車の方針は二つ。一つは、商用車などEVの車種を増やすこと。コンビニ配送車などは1日の走行距離が30キロメートル程度。電池を減らし、200万円を切るタイプの開発も選択肢になる。

もう一つは国際化の加速。すでにプジョー・シトロエンへのOEM供給を決めているが、低炭素化の意識が高い欧州では、日本以上の速やかな浸透=OEM拡大が期待できる。

とはいえ、アイ・ミーブは10年度想定台数も5000台。損益分岐点の3万台に向け、一歩ずつ着実に。「貧者の戦略」はそれしかない。

(週刊東洋経済)

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT