飯島彰己・三井物産社長--資源・エネルギーへの投資は手を緩めない

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縮小


--資源権益への投資を語るうえで、近年は中国企業の存在感が大きくなっています。中国企業が政府と一緒になって世界中の資源権益を買いあさる中で、日本の商社として、どうやって対抗するのですか。

金額だけなら負けるケースもあるでしょう。ただ、(英豪系資源大手の)リオ・ティントに対する中国アルミの出資拡大の話も結局は破談となった。資源はその国のもの。その国の国益、経済成長にどう役立てるかといった考え方で、われわれはやっている。そうした点で協調路線がとれるのなら、中国と一緒にやってもいい。

当社も中国にたくさんの合弁があるわけで、中国は別に敵対関係でも何でもない。そういう考え方で資源もやっていくべきだ。

--非資源・エネルギー事業の強化をどう進めていきますか。

当社の総資産における非資源の比率は6割程度を占めるが、近年は資源が利益の実質70~80%を稼ぐ構造になっている。非資源の利益絶対額を増やす形で、資源との利益構成比が50対50ぐらいになるのが理想。そのために過去3年間で全社投資の約半分を非資源に投じるなど、必要な手は打っている。

たとえば、2007年には646億円かけて米国の鋼板加工サービスセンター、スティールテクノロジーを買収。インフラでも電力発電所、鉄道に力を入れているし、水事業ではメキシコの会社を買収した。投資が実るまで若干の時間はかかるかもしれないが、そうした施策の果実を早期に実らせたい。

--資源以外での重点事業は。

次の世代として環境リサイクルは有望だろう。地球温暖化、低炭素問題という次元からも積極的に取り組んでいく。この分野では豪州の総合リサイクル会社シムスグループに一昨年、昨年と合計900億円近くを出資した。長期保有で環境リサイクル事業を強化する。

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