世界の不動産市場は崩壊につながるのか

米国で起こった不動産市場の変調が、欧州で猛威を振るっている。 

 特に影響が深刻なのが英国だ。2007年10~12月期の英国オフィス売買市場で取引された総額は25億ポンド。前年同期の200億ポンドから9割近く激減した。取引件数も711件から190件へ急減している(英不動産サービス大手DTZ調べ)。   

住宅価格も下がっている。英住宅金融大手ネーションワイドの調べでは、2月の英国の住宅価格は前月比0・5%減。昨年11月に1年9カ月ぶりに下落に転じて以降、4カ月連続下げ続けている。1戸当たりの平均価格は17万9358万ポンド(約3600万円)。英イングランド銀行によれば、1月の新規住宅融資の承認件数は7万4000件と、昨年6月の約6割の水準にとどまっている。

お隣の国、アイルランドでも住宅価格が下降。住宅ローン会社TSBが公表しているアイルランド住宅価格指数は、07年に7・3%下落。06年の11・8%の上昇から急反落だ。全国平均住宅価格は28万7887ユーロ(約4300万円)となった。

IMF(国際通貨基金)に、英国、アイルランドと並んでバブルの懸念を指摘されたスペインでも、不動産バブル崩壊の足音が近づいている。バレンシア地方で住宅建築の抑制政策がとられており、同地方の大手不動産アストロク・メディラデネオの経営に危機説が流れている。

米国住宅は10%下落 日本オフィス賃料低下も

サブプライムローン問題の震源地、米国の住宅価格(S&Pケースシラー指数)は、昨年12月まで17カ月連続して前月比マイナス。ピークだった06年1月より10%の下落だ。住宅差し押さえも急増している。不動産仲介業リアルティ・トラックの集計によれば、07年220万3295件に達し、前年比79%増。08年2月には前月比4%減とやや減ったが、それでも前年同月比では59・8%増。住宅ローン最大手カントリー・ワイド・フィナンシャルは、保有する住宅ローン債権900万件の差し押さえ率が1月に1・48%と過去最高になったと公表した。 

英米ではオフィス価格も天井感が出始めている。下図のように、ここ4年、投資利回り(オフィス利回りから5年スワップ金利を引いたもの)は、物件価格の上昇により、低下してきた。だが、07年下期に一転、ニューヨーク、ロンドンで投資利回りが上昇に転じた。スワップ金利が下がったことが主因だが、物件価格が下落し、オフィス利回りが上昇したことも影響している。
 

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