孫社長が語った「スプリント反転」は本当か ソフトバンクの業績の実態とは?
ソフトバンクグループは2月10日に2016年3月期第3四半期(2015年4~12月期。IFRSベース)決算を発表。当日の会見で、孫正義社長は傘下の米携帯大手スプリントが改善していることを強調し、「反転への兆しが見えてきた」と明るく語った。
孫社長が真っ先に挙げたのは、スプリントのEBITDA(税引き前利益に支払利息や減価償却費を足したもので、どれだけキャッシュを生み出しているかに着目した利益概念)の大きさだ。
連結ベースで1.9兆円のEBITDAのうち、最も貢献したのは国内通信の9302億円だが、スプリントは国内通信に次ぐ7448億円のEBITDAだったことを強調した。孫社長はスプリントについて、「これから稼ぎ頭の一つになる」とまで語っている。
コスト削減で黒字転換
経営数値は確かに改善している。10~12月の解約率は同社史上最小となる1.62%で、主力のポストペイド(後払い)契約における携帯電話の純増数も36.6万件と過去3年で最高だった。
また、4~12月の9カ月間で8億ドルの固定費を削減。これらの結果、4~12月期は3億ドルの営業利益と黒字転換した(前年同期は巨額減損の計上もあり、22億ドルの赤字)。
ちなみに、ソフトバンクは減損を除いた前年同期の数値で改善傾向であることをアピールしている(前年同期は0.8億ドルの営業赤字、さらに前々年同期は19億ドルの営業赤字)。
LTEの通信速度(ダウンロード)についても、「ニールセンの調査によると、この1~2カ月ではスプリントが大都市圏で1位、この3~4カ月では全米で2位」と孫社長は胸を張った。「ただ、高品質の日本に比べると米国はまだまだ品質が低い。低いレベルでの首位にすぎない。ぶっちぎりの1位になる手立てが見えてきた」と付け加えた。
孫社長は若い頃のスナップ写真に「数々の困難を乗り越えてきた」と大書したスライドを見せた上で、ヤフージャパンの純利益、固定電話事業の営業利益、モバイル営業利益の棒グラフ(いずれも右肩上がり)を示し、「自ら直接手をかけて、右肩上がりの結果を出せなかったものがない。それが私の誇り」と、スプリントの再建に強い自信を示した。
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