日立、「復活のキーマン」がCEOを譲った理由 復活後の調整局面をどう乗り切るのか

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中西氏は日立復活の立役者の一人。日立は新たな局面を迎えることになりそうだ(撮影:尾形文繁)

復活の立役者の1人が、経営の第一線を退くことになった。日立製作所は2月3日、4月から東原敏昭社長兼COO(最高執行責任者)が社長兼CEO(最高経営責任者)に就任する人事を発表した。会長の中西宏明氏はCEOを外れ会長専任となる。

東原社長は2014年4月の社長就任後、中西会長と2人3脚で巨艦日立の舵取りをしてきた。東原社長が工場やグループ会社を回り、現場で指揮を執る一方、中西会長は海外のM&Aを主導してきた。たとえば、2014年12月のスイス重電大手ABBとの電力流通分野での合弁設立は、中西会長のトップセールスで提携までこぎ着けている。役割を明確にしたツートップ戦略は順調だった。

かつての復活のキーマンがCEOを譲る

CEO交代の理由について、中村豊明CFO(最高財務責任者)は、「2014年、2015年は、(2015年度を最終年とする)中期経営計画の移行過程として2頭体制でやってきた。物事を決めるのに、2人で相談しながらやることも大切だ。だが、(来年度から始まる)中期経営計画から、一頭体制の方が意志決定も早くなる」と説明。次期中計は東原社長が主導する。

この体制変更は単なる世代交代ではない。日立は2008年度に製造業で過去最悪となる7873億円の最終赤字に沈んだ。再建のため、2009年に子会社の会長を務めていた川村隆氏(現・相談役)が社長に、中西氏が副社長に復帰。上場子会社の完全子会社化や事業売却、撤退を断行してきた。

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