上原明・大正製薬社長--薬事法改正は拡大の好機、『紳商』理念で新市場開拓

上原明・大正製薬社長--薬事法改正は拡大の好機、『紳商』理念で新市場開拓

今年で社長在任27年を迎える大正製薬の上原明社長。景気による業績変動が少ない製薬メーカーだが、高額医薬品の販売減や医療用では薬価引き下げなど影響も少なくない。6月の薬事法改正では、薬剤開発から販売までの戦略の大幅な見直しも必要となりそうだ。大転換期に上原社長はどう臨むのか--。

--今回の薬事法改正の趣旨を、どのようにとらえていますか。

薬の販売に関して、利便性より安全性に、より焦点が当たるようになります。海外の薬の販売は、規制の強い「ヨーロッパ型」と、自由度の高い「アメリカ型」に分けられます。ヨーロッパでは、薬は薬局でカウンター越しに販売するのが基本。アメリカでは客が店内を歩き回り、薬を手にとって選べます。日本の販売方法はその中間でしたが、今回、よりヨーロッパ型に近づきます。

--目に見える変化は。

売り場がガラッと変わりますよ。最も副作用リスクの高い第一類医薬品は、レジから1・2メートル以内に陳列し、薬剤師の説明を受けなければ購入できなくなります。たとえば、当社の「パブロンエースAX」のようなスイッチ薬(医療用成分を配合した薬)がそうです。病院の処方箋の薬を薬局に取りにいくと、薬剤師から説明を受けますよね。ああいったイメージですね。対する第二、第三類は、新資格の「登録販売者」がいれば、薬剤師がいないスーパーやコンビニエンスストアなどでも、販売できるようになるのです。

--足元の景気後退が薬の買い控えにも影響していますか。

生活者が高額消費を敬遠していますので、当社で言えば高額のミニドリンク剤「ゼナ」などの売り上げが例年に比べて芳しくない。大容量のまとめ買いも減っています。全体で見れば、滋養強壮剤や治療薬は伸び悩む一方、予防薬や再発治療薬などの生活改善薬は伸びています。

薬事法改正で注目しているのは、生活改善薬を含む第一類の領域です。現在、第一類の売り上げシェアは全体のわずか4%。市場規模だけを見れば、残り96%に目が行きがちですが、市場そのものの将来性はむしろこちらにある。第二類、第三類の領域では、価格訴求の動きが激しくなるでしょう。

--価格競争には持ち込まない方針ということですね。

それが、われわれNB(ナショナルブランド)の使命です。単に売れればいいというのであれば、割安なPB(プライベートブランド)でいい。商品育成と短期的な売り上げ確保をてんびんにかけた場合、NBが優先すべきは、前者です。NBの信頼性は、一つひとつの商品の積み重ねによって構築されるもの。時間のかかる分野です。

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