平松庚三・小僧com代表取締役会長兼社長/元ライブドア代表取締役社長(Part4)--雇われ社長は走りながら修理してくれと必ず言われます

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--MBOをはじめ、各社で成功を収めた戦略は、ヘッドハンティングのオファーを受けたときからあったのでしょうか。

ヘッドハンティングがあって次の会社へ移るまでにたいてい3~6カ月はありますよね。その間にいろいろリサーチや勉強をして戦略を立てます。ライブドアのときには、時間がなかったので大変でしたけど(笑)。

ただ、現状の認識と問題点の把握を30日、60日、90日…というスパンで考えていくと、30日の時点と60日の時点ではファーストプライオリティが変わるときがあるんです。それは実際に社長になって経営を担ってからも同じであり、インテュイットジャパンでのMBOなども最初から考えていた戦略ではないんですよ。

--外資系企業の経営者には、どんな心構えが必要ですか。

「雇われ社長」は、完全な契約社会の中で生きることになりますから、3年契約でも数字を出さないと1年でクビになります。再建屋はまともな会社から声がかかりません。企業が断末魔の状態に陥っているときに依頼がきて、条件として「走りながら修理をしてくれ」と必ず言われます。返り血も浴びるし泥もかぶるような状況が前提なので、コンプライアンスなども大切ですが、まずはEBITだという執念がないと再建できませんね。

--若い経営者で注目している人はいますか。

90年代にインターネットと出会い、ソフトバンクの孫さん、楽天の三木谷さん、サイバーエージェントの藤田さんなど、10歳も20歳も年下の人たちの活躍を目の当たりにしました。

彼らを知ってからは、「アントレプレナー(起業家)」になるのが僕の夢となりましたので、虎視眈々と起業を狙っている人に今は興味がありますね。会社で係長や課長という立場を利用し、金融資源や人的資源をフルに使って自己実現の準備をしている人は、僕のライバルという意味でも注目しています。堀江にも、さっさと決着をつけてリスタートしてほしいですね。これでおしまいじゃないだろうね、と思っています。

(写真:尾形文繁)

ひらまつ・こうぞう
 1946年北海道生まれ。アメリカン大学(Washington,D.C.)コミュニケーション学科卒業後、ソニー株式会社入社。ソニーで13年間勤務した後、アメリカン・エキスプレス副社長、IDGコミュニケーションズ社長、AOLジャパン社長などを歴任。2000年にIntuitジャパンのCEOに就任。2002年、MBOにて米国親会社から独立、社名を弥生株式会社に変更、同社の代表取締役社長に就任。2004年、全株式を売却してライブドアグループ入り。2006年1月、株式会社ライブドア社長就任。2007年4月、社名をライブドアホールディングスに変更、代表取締役社長就任。2008年1月に人生の後半戦を楽しむ「人生のエンターテインメントパートナー」としてアクティブなシニアを応援する小僧com株式会社代表取締役会長に就任。

■CEOへの道は、エグゼクティブ向けの人材会社・リクルートエグゼクティブエージェント主催のセミナー「Road to CEO」との連動企画です。

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