キヤノンの一眼レフで不良事故が多発する理由、製造請負依存の死角(上)

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 その一眼レフ業界で圧倒的な2強を占めるのがキヤノンとニコンだ。両社が占める世界シェアはおよそ8割。パナソニックなどの電機メーカーを含め、各社がこの有望市場の取り込みに注力したが、2強のシェアはほとんど揺らいでいない。シェアを伸ばせない各社は一眼レフ事業における赤字が続いており、キヤノン、ニコンの2強だけが、市場拡大の恩恵を享受することができた。

とりわけ巨額の利益を稼ぎ出したのが、業界首位のキヤノンだ。コンパクトデジタルカメラでも世界1位のキヤノンはコンパクト、一眼レフ合わせ年間販売台数約2560万台(08年12月期実績)に及ぶ量産効果により、07年12月期にはカメラ事業全体でライバルのニコンやソニーの倍近い26・7%の営業利益率をたたき出している。

しかもキヤノンは一眼レフ全機種を含め、デジカメの約7割を100%子会社である大分キヤノンの国内工場で製造している。海外製造やOEM(相手先ブランド製造)メーカーへの製造委託を主体とする他メーカーに比べて、その製造体制も特別だ。人件費の高い日本で製造を行いながら、圧倒的な利益率を誇ったキヤノンは、まさに驚異的と言えるものだった。

だが、そのキヤノンで頻発しているデジタルカメラの製品不良。それは高品質の代名詞として長年信奉されてきた「メード・イン・ジャパン」神話を揺さぶる苦い現実だ。


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