キヤノンの一眼レフで不良事故が多発する理由、製造請負依存の死角(上)

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キヤノンの一眼レフで不良事故が多発する理由、製造請負依存の死角(上)

「あれ? なんで何も見えないんだ?」。都内に住む30代のプロカメラマンAさんが血の気の引く“恐怖体験”をしたのは昨年夏のことだ。愛用するキヤノン「EOS 5D」のシャッターを切っていると、前触れもなく急にファインダーの視界が真っ暗になったのだ。

「何だ?」。もう1回シャッターを押すと、今度は「カラカラ」という軽い音。突然の異変にレンズを外してカメラの内部をのぞき見ると、基幹部品であるミラーが落ち、光を感知する画像センサーの上に覆いかぶさっていた。

「仕事中に、エライことをしてくれたなという感じですよ」。Aさんは憤りを隠さない。同じカメラマン仲間には、今年初めに「5D」を購入し、使い始めた途端にミラーが外れてしまった例もあるという。「プロのカメラマンにとって、撮影中にカメラが動かなくなることが、どういうことを意味するか」--。憤ると同時にキヤノンへの信頼を失ってしまったという。

2005年以降(製品発売時期ベース)、キヤノンは一眼レフカメラの新製品を12機種発売しているが、そのうち5機種で製品不良が発生している。品質不良のオンパレードと言っていいだろう(2ページ目下表参照)。その間、ライバルのニコンでは、製品不良は1機種も公表されていない。製造台数が少ないものの、オリンパス、ソニー(06年に旧ミノルタの事業を買収)などその他の一眼レフメーカーも、製品不良を公表していない。

製品不良の内容はさまざま。そのうち、昨年12月発売したハイアマチュア向け機種「5Dマーク�」の「撮影した画像に黒点が写り込む」については、画像センサーやソフトウエアの不具合と推測される。一方で、プロ向け機種「1Dマーク�」「1Dsマーク�」の「ミラーの外れ」「AF(オートフォーカス)調整不具合」などは、メカニクス(機械)の問題であり、製造現場に起因する可能性が高い。

国内製造ながら圧倒的な収益力

05年から昨秋まで3年間続いたデジタルカメラ業界の好況。世界のカメラ市場はこの3年間で1・4倍の2・2兆円まで拡大した。特に一眼レフカメラは低価格化によりユーザーの裾野を広げ、市場は年平均25%増の急成長を遂げてきた。

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