『世界同時不況』を書いた岩田規久男氏に聞く

『世界同時不況』を書いた岩田規久男氏に聞く

「世界同時不況」が進行し、各国で大型対策をテコにした景気浮揚が焦眉の急となっている。主要諸外国の動向、昭和恐慌などの経験を踏まえて、本書ではタブーとされている「日銀による国債引き受け」を提言している。

--まず今回の15兆円の追加景気対策をどう判定しますか。

財政政策として、なぜ今回は15兆円なのか。これは内閣府の研究所のシナリオがベースにある。今後のGDPギャップを考えると10%ぐらい、50兆円近い。それが現実化すると、来年には失業率が7%になりかねない。過去の最悪の失業率は2001年の5・5%だから、それを大幅に上回る。そうなれば社会問題が深刻化する。少なくとも過去最悪の5・5%までにとどめられないか。そのためには、どのくらいの財政出動が必要か。それを計算するとほぼ15兆円、実際に提示された総額は15兆4000億円で、それが算出根拠になったという。

この不況が始まる前の失業率はだいたい4%なので、その程度にとどめる前提が本来いいと私は考える。そうなるには内閣府の計算方法に従えば、倍以上の36兆円の財政出動が追加されなければならない。つまり15兆円ではかなり少ない。ただ財政政策に金融政策がきちんと伴えば、36兆円までいかなくてもいい。民間の言う27兆円程度で金融政策を組み合わせるのが適当でないかなと考えている。

--同時に金融政策が必要と。

資産価格が暴落し、それも借入金が裏付けだから、典型的なデットデフレに陥っている。そういうときは当然、財政出動とともに金融政策がもう一つの柱になる。特に日本では昭和恐慌を大きな金融緩和によって乗り切ったという歴史的事実がある。そのときは財政支出を賄うため国債を発行したが、その国債を日銀がすべて引き受けた。それが高橋(是清)財政だった。

なぜそうするのか。財政支出を増やすときに、政府は国債を買ってもらっておカネを吸い上げて、そのおカネで支出する。民間からおカネが吸い上げられ、貨幣供給が増えないことになる。貨幣供給が増えないと、国債を消化するために金利が上がってしまう。そうなれば設備投資に悪い影響を与え、また円高にもなり、輸出が減るということも生じる。

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