指示の仕方を変えれば部下はみるみる変わる 部下をうまく動かす「任せ方2.0」とは?

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意義を伝える2つ目の理由は、部下の当事者意識の向上です。「目的を理解してもらい、やり方は任せる」という接し方をすると、任された本人は「自分の仕事」として受け止めやすくなるのです。結果、部下自身の創意工夫なども促すことができます。一方で「やり方を縛る」任せ方は、部下からすれば「やらされ感」しか感じられないただの作業になってしまいます。

意義づけで伝えるべきは、「組織にとっての意義」と「部下個人にとっての意義」の2つです。「組織にとっての意義」とは、言い換えれば「その仕事が全社・組織という目線で、どのような位置づけか」という内容です。

部下から見て「自分の仕事が何につながっているのか」を明確に語ることが求められます。一方の「部下個人にとっての意義」とは、「その仕事経験は、部下自身にとってどのような成長機会となるか」という内容です。部下のキャリアや能力向上にどのように寄与するのかも明確に語ることができると、仕事への取り組み姿勢が一変します。

つまずきそうなポイントを事前に伝えておく

Step.2「つまずきワクチン」

つまずきワクチンとは、部下が任せられた仕事を進めていく中で起こるであろう「つまずき」を、事前に告知することを言います。つまずきワクチンを行う目的は「部下の気持ちが折れるのを防ぐ」「取り返しのつかない失敗を防ぐ」という2つで、部下本人にとって少しチャレンジングな難易度の仕事を任せる際に、特に必要になります。意義づけをきちんと行うと、部下は「大役を任された!」「気合を入れて頑張ろう!」と前向きな気持ちになるはずです。

ただしこの前向きな気持ちは、仕事がチャレンジングであればあるほど「浮ついた」ものとなり、このまま仕事に突入してしまうと、思わぬつまずきがもとで一気に気持ちが折れてしまう危険性があります。そこで、任せる仕事の難所を伝えて、部下の前向きな気持ちを現実に引き戻しておく必要があるのです。

また、「ここでつまずくぞ」という予告は、言い換えれば「ここに気を付けろよ」というアドバイスでもあります。事前に告知しておくことで、仕事自体が止まってしまうといった取り返しのつかない失敗を防ぐことができます。

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