学歴主義の価値観は、今の教育に通用しない 余白のデザインと好きなことが創造性を生む

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『21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由』(佐宗邦威著、クロスメディア・パブリッシング)。上の画像をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

佐宗:ファミコンなら、私たちの世代は子どもの頃に「ドラクエ」(ドラゴンクエスト)が流行りましたよね。敵を倒せば倒すほど経験値が上がっていくという、頑張れば頑張るほど報われるシステムです。まさに私たちが生きてきた学歴主義世代の価値観を見事にとらえています。

一方、今の子ども達の間で人気がある「ポケモン」(ポケットモンスター)はドラクエの逆で、主人公が強くなるのではなく、パートナーのモンスターを育てて強くしたり、交配して違う能力や性質のモンスターを作ったりする遊び方です。あれはグロース(成長)しなくても、コラボレーションしたら何か生まれるかもしれないというような、今の時代を象徴しているようです。

加藤:ドラクエのように決められたストーリーをただなぞっていくスタイルから、ポケモンのように柔軟性があるスタイルへ変化したということですね。

佐宗:そうです。最近では、Wii Uのソフトで『スーパーマリオメーカー』というタイトルのゲームが発売されました。あれは、長らく人気のゲームになっているスーパーマリオのコースを自分で作れるというのが、コンセプトです。ファミリーコンピュータの時代に『エキサイトバイク』というタイトルのゲームで、コースをつくるような遊び方も昔からありましたが、今となってはあのコンセプトが「今の時代らしいな」と思います。海外でもMinecraftが流行っていますよね。

加藤:「自分でコースを作る」のは、確かにステージをクリアしていくのとはまた違う楽しみ方ですよね。使う頭も違う気がします。

佐宗:羽生善治さんが将棋に強くなる手段のひとつとして、詰将棋を作るのを勧めている話に似ています。ゲームも将棋も、自分でやることと並んで、そのルールを自分で作ることで逆に構造を学べるのでしょう。

私がデザインについて学んだ中でも、もっとも前衛的だと思ったのは「ルールデザイン」という概念です。複数枚のカード各々にいろいろなキーワードが書いてあって、そこから3つを選び、そのキーワードを組み合わせて新しいゲームを作る、という授業を受けたんですね。

新しい秩序を成り立たせる

加藤:全然関係のないもの同士を組み合わせて、新しい秩序を成り立たせるんですね。

佐宗:自分のアイデアや価値観を秩序立ててルールという形でしっかり表現することができたら、これからの時代は面白いでしょう。「ルールデザイン」みたいな言葉が生まれてもおかしくありません。

加藤:「ゲームデザイン」という言葉はありますが、「ルールデザイン」とはいわれていませんね。コ・クリエーション(共創)するとか、ネットを通じて地域を超えるとか、突出した人と付き合う機会が増えるんだろうなという実感があります。そういう時に柔軟な発想ができたり、ルール自体を作れたり、自分が好きな働き方がわかっていたりするのが実はものすごい財産になっていると感じることは多いです。

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