学歴主義の価値観は、今の教育に通用しない 余白のデザインと好きなことが創造性を生む

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佐宗:学びにしても、自分が好きなモノを徹底的にやった方が将来はすごく大きくなるってもうわかっていますよね。それでもなぜ徹底的にやらないのかと考えると、成功することを誰も信じない、目の前に形のない漠然としたものを信じるのは怖い、という構造がありそうだなと思います。

加藤:自分が好きでやっていることが何の役に立つかわからない。

子どもを後押しする存在

好きなことの有用性はどう信じればいいのでしょうか

佐宗:自分が好きでやっていることの有用性をどう信じるか。たとえば超一流のスポーツ選手などは、小さい頃に自分を後押ししてくれる大人が絶対いたはずです。その親のインタビュー記事を読むと、やっぱり「お前は絶対それでいけるのだから頑張りなさい」などと、徹底的にやらせる大人の存在がフォーカスされています。

イチロー選手(野球)や浅田真央選手(フィギュアスケート)、清水宏保選手(スピードスケート)、松坂大輔選手(野球)などの親の姿勢を見てみると、必ず子どもを後押ししています。

これには親の人間的、時間的、金銭的な余裕が必要です。イノベーションが生まれる土壌もそうですが、余裕を持って何かを作らなければならないというのは、もはや当たり前です。それが周知されているのに上手くいかないのは、「余裕がないから」という理由であきらめてしまっているのが大半を占めていると思います。

加藤:そうですね。色んな意味で、「制約」がある。

佐宗:逆に「チャンスになるかもしれない」という感覚は、制約があるからこそ生まれるものだと思います。忙しいからこそできるということを相手に理解させられたら面白いかもしれません。たとえば、「ビジネスを100倍にしよう」とか「100分1でやれ」のように、無茶振りに近いオファーをすることで、漸進的に考えず、今までの方法論にとらわれないやり方を考えさせられる習慣を養わせるとか。

加藤:無茶なことを考えるのってけっこう楽しいですよね。失敗もしますが、たまに大きなジャンプがある。

佐宗:企業でデザインのワークショップをやっていても、「無茶振りに答えるのが楽しい」って思える人と、「無茶振りは怖い」という人がやっぱりいます。目に見えないものに対する恐れや成果の出ないものに対する不安をどう解いているか、という本人のクリエーティビティに依存しているといっても過言ではありません。

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