「企業に対する金銭目的のサイバー攻撃は、非常に洗練されてきている」と上原哲太郎氏は切り出す。
「サイバー攻撃を仕掛ける犯罪組織は、最終的には大量の人を集めて人海戦術に頼るところがあります。以前は散発的な攻撃が目立ちましたが、最近は、組織内の役割分担が進み、大量の攻撃を仕掛けることができるようになっています。その中で、データを集めて効率的な戦術を特定し、横展開することで、攻撃の成功率を上げているのです」(上原氏)
中でも、最近ニュースとして取り上げられる「ランサムウェア」は、短期間で早く大金を得る方法として、犯罪者にとって人気が高い攻撃手法だという。ランサムウェアは、企業のネットワーク内にマルウェア(不正プログラム)を侵入させて、企業内の重要ファイルを暗号化し、暗号の解除と引き換えに金銭を要求する攻撃手法だ。
自社のデータが「身代金(ランサム)」に取られることから、ランサムウェアと呼ばれる。支払いは仮想通貨を指定することが多く、大企業に対する攻撃では、数十億円の身代金を要求されることもあるという。
「ランサムウェアの成功率は必ずしも高くありませんが、大企業に対して成功すれば、数十億円もの儲けをもたらします。攻撃者にとっては、これ以上ないおいしいビジネスです」(上原氏)