LIBERAL ARTS OF MUSASHI UNIVERSITY
予測困難な時代を
生き抜く人材を育成
「ゼミの武蔵」の
リベラルアーツが描く未来

2022年4月にリベラルアーツ&サイエンス教育センターを設立し、
予測困難な時代を生き抜くための基盤となる
「専門知と総合知」の学びを強力に推進する武蔵大学。
2027年には大幅なカリキュラム改定を予定するなど、
リベラルアーツとサイエンスの学びをさらに深め、
新しい価値を創出することが期待されている。
現代に求められる「知と実践力の習得」において、
もつべき視点とは。
踊共二(おどり ともじ)センター長と学生の声を通じて、
武蔵大学における学びの核心に迫る。
01
「分野にとらわれない学び」を
推進する専門組織

人が自由、かつ自律的に生きるために必要な、総合知と実践力を得る学びを――
予測不能な事態が起こり続ける、不確実な世界を生き抜く力を身につけるために、武蔵大学では文理を融合した横断的な学び「リベラルアーツ&サイエンス教育」を推進している。
単なる知識の習得に終わらず、課題解決能力や柔軟な思考力、生涯にわたり学習し続ける力を養うことを重視した科目を展開しているのが、「リベラルアーツ&サイエンス教育」の大きな特徴だ。文理の壁を越えた総合的、かつ実践的なプログラムを提供することで、学生が幅広い知識とスキルを身につけられる学びをコーディネートしている。
2022年4月に設立された学内の専門組織「リベラルアーツ&サイエンス教育センター」を率いる踊共二センター長は、これまでの取り組みをこう振り返る。
「時代に合った授業科目を迅速に提供するため、専門的かつ自立的な組織であるリベラルアーツ&サイエンス教育センターを設立し、自然科学・身体運動科学・外国語学・人文社会科学にまたがる多彩な分野のエキスパートがもつ学知を総動員し、授業科目の企画・立案・運営に取り組んでいます」(踊センター長)
2024年より、いわゆる組織論にとどまらず個人の成長や広い社会とのつながりを意識した総合科目「リーダーシップ論」を開講。複数の学内講師と特別に招いたゲストたちが交替で教壇に立ち、それぞれの知見と現場体験を伝えるリレー式の授業を展開。今年は約250名の学生が履修し、教室は熱気にあふれている。同時に新設した「リーダーシップ実践」では、少子高齢化によって消滅の可能性のある山間部の地方自治体の維持・発展の課題にとりくむ山梨県小菅村で体験学習を行い、地域社会を牽引するリーダーたちに学ぶ。また2025年からは、学生が地域社会の課題解決に参画する合宿形式の「地域連携ワークショップ」(仮称)を開設する予定だ。
「異なる学部の学生がそれぞれの視点から自治体の課題を現場で理解し、解決策を検討することで、地方への関心を高めることを目的としています。現在、武蔵大学は東京都練馬区、山梨県小菅村などと現地実習プログラムや人的交流、教育研究に関する連携協定を交わしています。これらの地域でのフィールドワークで、学生にリベラルアーツの学びを深めてほしいと考えています」(踊センター長)
02
リベラルアーツで得た、
自己成長の実感

「幼少期から世界のニュースに興味があり、物事を深く考えたり、家族と議論したりすることが好きでした。そんな自分にとって武蔵大学は理想的な学びの場です」
こう話すのは、リベラルアーツ&サイエンスのプログラムを受講する人文学部 ヨーロッパ文化学科の1年生だ。少人数で学べる環境と、教員や学生とのディスカッションで自分の考えを深められる授業に魅力を感じ、武蔵大学を選択したという。
「武蔵大学の授業では、『答えがない課題をいろいろなルートで検証していく』という思考のプロセスが重視されています。例えば、ある歴史的な出来事について複数の視点から考察し、自分なりに解釈するというアプローチです。テーマについて自分で考察し、先生や他の学生と意見交換をすることで、新しい視座を得られます。この学びこそ、私にとって大学に求めていたことでした」
リベラルアーツ&サイエンスで履修している授業科目の1つで、特に印象に残るのが「リベラルアーツの名著」。授業の概要は、古代ギリシアの戦史から現代の非暴力主義まで、歴史を超える名著を基に戦争と平和について考察するというもの。先人たちが残した知を読み解き、幅広い知識を得ながら、戦争と平和を自分事として捉え、日常的実践に結び付ける方法を深く考えることを目指す授業だ。
「普段メディアで国際紛争のニュースを目にするにつけ、戦争の原因は何であるのか疑問に思っていた私は、『宗教が人々を幸せにする一方で、殺人を正当化することがあるのはなぜか』をテーマにした『リベラルアーツの名著』の授業に興味を持ちました」
印象に残っているのは、ある物理学者と神経病学者の往復書簡をまとめた書籍を取り上げた授業。人間の行動や思考について多角的に考察した名著からは、深い洞察を得ることができたという。
「授業を通じて自分の考えを整理し、言葉にして先生やほかの学生と共有することで、自分の思考がさらに整理され、同時に他者の視点を取り入れることでより考えを深めることができます。自分では選ばないような本に触れる機会が増えたので、知識の幅が広がっています」
将来は海外の大学院で教育について学び、日本の教育制度に変革をもたらすことを目標にしているという。とくに、自分の考えを深めることや多角的な視点を持つことの重要性を教育に取り入れたいと話す。
「武蔵大学での学びを基盤に、教育を通じて社会問題の解決に取り組むことを視野に入れています。大学院卒業後の進路はまだ決めていませんが、若い世代に対して批判的思考や多角的な視点を養う教育を提供できる仕事に就くことを考えています。社会の中で自ら問題を発見し解決する力を持った人を、一人でも多く世の中に送り出したいです」
03
カリキュラム改定で目指す
「さらなる教育革新」

「リベラルアーツ&サイエンス」は、2027年にさらなるアップデートを控えている。1つは、数理科学とデータサイエンス領域の強化だ。具体的には学び直しを含む「基礎数学」、今やあらゆる業界のビジネスパーソンが無縁ではいられない「AI・データサイエンス入門」、ロボットとの共生が現実となる近い未来に備える「ロボット学入門」など、新たなサイエンス領域の学びを充実させていくという。
さらには、哲学、言語学、心理学などの入門的授業も見直す方針だ。自然科学の分野では、現代人の生活に密接に関係している「医学」や「生命科学」を扱う科目を導入予定。さらに、栄養学や食と健康の科学に関する授業も構想している。
踊センター長は、改定の理由と方針について次のように説明する。
「近年ますますデータ分析とAI活用の必要性と重要性が増しているため、統計学やデータサイエンス領域を強化して学生たちが実務面で活躍できるスキルを養います。同時に、人文科学・社会科学分野の原論的な科目の充実もはかります。たとえば、「言語」とは何かという根本的な問いを扱う授業や、あらゆる学問の基盤である「哲学」の新しい入門授業を提供する予定です。心理学に関しては、学校や職場での人間関係の構築にも役立つ実践的な社会心理学をテーマとする新たな科目を導入するつもりです」(踊センター長)
そのほかにも、自ら問題を見つけ、解決する能動性を身につける学習方法であるPBL(Project Based Learning)を用いた授業「分野横断型学際ゼミナール」 を新しく全学対象の専門科目として追加する。この授業では、異なる専門分野の学生がチームを組み、たとえば地球規模の環境破壊や身近な場所で起きているグローバル化、AIの社会実装などの問題について調査と考察を行い、複数の「専門知」を動員して課題解決に取り組む力を養うことを目指している。
また、留学のための専門科目の充実も目指し、海外の協定校の教室と武蔵大学の教室をオンラインでつなぎ、 異なる国や文化を持つ学生同士が協働学習を行う教育プログラムCOIL(Collaborative Online International Learning)方式の授業も構想中だ。現地の教育制度や文化を学ぶことによって、学生が留学先での生活や学習にスムーズに適応できる土台をつくる。
踊センター長は、カリキュラム改定を通じて、リーダーシップとレジリエンス(回復力・再起力)を備えた人材の育成をいっそう強化したいと展望する。
「リベラルアーツ&サイエンス教育センターは、知識中心の学びと同時に、実践的な体験の機会を増やすことで、だれもがいつかは組織運営や社会的活動のなかで求められるリーダーシップとともに、逆境や危機から立ち直るための回復力や適応力をもった人物を育てたいと考えています。文理融合型のリベラルアーツ&サイエンスを通して人間の本質や世界が直面している複雑な課題に関する理解を深めることは、人類がこれまで経験したことのないような大きな変化に対処するための準備でもあります。こうした理念と認識に基づき、リベラルアーツ&サイエンス教育センターでは知識と体験の両方を重視した教育を推進していきます」
多角的な視野と深い洞察力を育んでいる武蔵大学のリベラルアーツ&サイエンス。時代を先取りした学び、そして時代の変化に柔軟に対応できる人材を育成する学びの提供を通して、今後もよりよい社会をつくるために力を発揮できる人材を輩出していく。
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