グローバル・キャッシュ・マネジメント
資金の可視化だけでなく「どう使うか」まで管理して企業収益の向上を目指す

サンガードは大手金融機関や一般事業法人を中心に、金融システムを提供するIT・ソフトウェア企業だ。同社はシステムベンダーとしての長年の経験をもとに、企業の財務戦略や基幹システムにとって最適なGCMのソリューションを提供する。

サンガード・ジャパン

将来の資金を予測し、
流動性リスクを管理

柳洋二郎氏

 サンガードは「AvantGard」というブランド名のパッケージ化されたソフトウェアを通じて、トレジャリーマネジメントなどのソリューションを提供する。
 GCMに関する基本的な機能は「将来の資金予測」。何日後の残高がいくらかという資金繰り表をつくり、足りなければ調達し、余っていたら運用するなどの施策を打つことで、流動性リスクを管理できる。
 さらに進んだ機能として、通貨や金利の偏りによるリスクや、特定の銀行に取引が集中するカウンターパーティーリスクを管理し、その対応として実施するヘッジ取引などの管理を行う機能も有している。
 銀行が提供するソリューションとの違いについて、柳氏は説明する。
 「銀行の口座間で資金のバランスを管理するプーリング機能は非常に便利ですが、サービスの範囲は基本的に同じ銀行内に限られます。アジア市場でその銀行が進出していない場合は、地元の銀行やその地に進出している他の銀行の口座を利用することになりますが、取引する銀行が増えるとプーリングどころか、残高の状況を確認するのも大変です。サンガードのソリューションは、複数の銀行の情報をすべて一元管理し、すべての情報を一覧できるようにします」
 マルチバンクへの対応は、国際的な銀行間ネットワークであるSWIFTと、国内のANSERサービスへの接続によって行う。「一般の事業会社がSWIFTに接続するにはコストがかかり、サービスの運用もすべて英語なので多大な負担がかかります。私たちの提供するソリューションでは、サンガードの運用する『ECHOS』というサービス経由でSWIFTのメッセージを送受信することができ、企業の負担を軽減します」(柳氏)

企業にとって負担が小さい
ASPサービスに注力

 サンガードの強みは、複数のサービス形態に対応できることだと柳氏は言う。「ITの進化に合わせて、システムはホスト集中型から分散系へ、オンプレミス型(企業が管理するシステムにソフトウェアをインストールする形態)からホスティング型およびインターネットのクラウドコンピューティングを通じたASP型へと進化してきました。ただ、すべての企業にとってASP型が適しているわけではありません。サンガードはホスティング、オンプレミス、ASPのすべてに対応できる数少ないシステムベンダーとして、企業にとって最適のソリューションを提案します」
 2013年4月時点において、サンガードでは米国を中心にASPを提供しているが、今後はアジア・パシフィックでもASPに力を入れていきたいと柳氏は展望を語る。
 「GCMという限られた機能だけのために、担当者を常にシステムに張り付けておくのは非効率です。ASPはシステムをサンガードが管理するため、お客様は業務に集中することが可能になります。加えて、ASPは複数のお客様に同じサービスを提供する形態なので、複雑なことができない半面、安価で迅速にサービスを導入できるというメリットがあります。現在、日本のお客様に適合するASPのシステムを準備しているところです」
 サンガードは米国や欧州だけでなく、アジア・パシフィック地域にも9カ国に12個の拠点を持つ。「AvantGard」は日本企業のアジア進出にとって強力な武器となるだろう。

銀行の提供するソリューションとの組み合わせ

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