とはいえ、そういう優良物件にはだいたい、誰かが先に縄張りを持っており、追い払われてしまう。追われた2羽はまた高度を上げ、しばらく飛んで別の場所に降下するが、そこにも誰かがいて追い払われる。これを繰り返して、結局もとの集団に戻っていく。
若いカラスは、縄張り持ちの大人たちを相手に、自分の居場所を確保しなければならないわけだ。そのためには1羽では戦闘力が足りない。これが、先にペアを作ってから縄張りを探す理由ではないかと想像している。
実際、縄張り持ちのペアの一方が死んだ場合、残ったのがオスならなんとか縄張りを守れるが、メスだけだと守りきれないようだ、という観察もある。1羽では維持するだけでもギリギリなら、新たに奪い取るのはまず無理だろう。
小鳥はオスが縄張り確保、カラスはペアで殴り込み
多くの小鳥では、オスが1羽で縄張りを確保し、さえずってメスを誘う。つまり、自分の資産をひけらかすことで求愛しているわけだ。
さえずりもオスの資産である。さえずりに時間と労力というコストをかけられる個体は栄養状態が良く、採餌も上手なはずだ。
また、さえずりは自分の居場所を宣伝することにほかならないから、捕食の危険も増す。それでも生きているということは、危険回避能力が高いという意味でもある。
そして、歌のうまいオスにメスが惹きつけられるなら、生まれた息子もおそらく歌が上手でモテモテである。そこに優良な土地まで持っているなら言うことなしだ。
それに比べると、派手なディスプレイもきれいな歌もなく、実力勝負でペアを作ってから縄張りを確保するために殴り込むカラスは、よく言えば果敢な実力主義、悪く言えば出たとこ勝負である。いやまあ、小鳥たちの歌がうまいのだって実力のうちだが。


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