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ライフ #カラスに蹴られるその日まで

不気味な「カラスの群れ」が絶対に襲ってこないことを証明しよう…ボスもおらず縄張りもない、"烏合の衆"の言い得て妙

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カラス 群れ
ヒッチコックの『鳥』や『バイオハザードIII』のようなことは起こりません(イラスト:タナカケンイチロウ)
  • 松原 始 動物行動学者、東京大学総合研究博物館・特任准教授
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若いカラスが縄張りを確保するのはかなり大変そうだが、2度ほど、「こいつは新参者だろうな」という例を見たことがある。

あるハシボソガラスのペアはいい営巣木もない場所に突然出現した。その辺りはハシブトガラスの縄張りに含まれていたのだが、「利用価値のない場所なので、怒られながらもお目こぼししてもらっている」ような状態でごくごく小さな縄張りを作った。

だが、さすがに場所が悪すぎたのか、毎年繁殖に失敗していた。なんとか小さな店を始めたが、立地が悪くてうまくいかないのを見ているようであった。

もう1ペアは冬の間に姿を見せるようになり、2つの縄張りの隙間にねじ込むように居場所を確保すると、次第に自分たちの領域を広げて、とうとう春には繁殖を始めた。こちらは激戦区に小さな店を構え、だんだん店を大きくしたやり手経営者みたいだ。

繁殖成功率は1割未満…? カラスに経営術を学べない理由

こういった縄張り確保の事例は「カラスに学ぶ経営術」なんて話になりそうだが、それはやめておいたほうがいい。

カラスは毎年、平均して2羽程度の雛を巣立たせる。そして、カラスの寿命は長い。今のところ、野生で確認された最長記録はハシブトガラスで19年4カ月だ。

繁殖を開始するまでに3年かかるとすると、カラスは生涯に15回以上繁殖する。1ペアが巣立たせる雛は30羽以上。

カラスが増えも減りもしないなら、単純に計算した場合、雌雄2羽の親から2羽の子どもが残って繁殖してくれればいい。ということは、巣立たせた雛たちのうち、28羽以上は子孫を残さず死んでいる。

成功率は1割もない。

カラスの生き方を見習ったところで、成功はおぼつかない。素直に人間流のやり方を考えたほうがいい。

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