一方、ユニクロ「LifeWear」のコンセプトは、「あらゆる人の、毎日の生活に寄り添う服」「すべての人がそれぞれのスタイルで気持ちよく着られる究極の普段着」だ。ところがCMは、友人の前での上半身裸やブラトップ1枚での外出という、一般的な日常の感覚からはかけ離れた視覚表現になっている。
コンセプトとモチーフの間に生じたこのズレこそが、「なぜ脱がせるのか」という違和感の根本にある。“普段着ブランド”としての様式と、“特別な人にしか成立しない”演出の様式が、食い違っているのだ。
ナレーションという“ひと言”は、まさにこのズレを埋めるために用意されていたが、拡散の過程でその役割を十分に果たせなかったといえる。
「好感度の高い出演者」だからこその“落とし穴”
好感度の高いタレントを起用すればするほど、企業は「見た目の説得力」に頼りたくなる。しかし、いくら好感度の高い出演者であっても、コンセプトを象徴するモチーフと演出の様式がずれていれば、違和感は消えない。むしろ好感度が高いからこそ、「なぜこの人にこんな演出をさせるのか」という疑問を強く抱かせてしまう。
見た目戦略において、“正しい見え方”は1つではない。同じ映像から、擁護も、違和感も、そして報道への怒りさえも、同時に生まれうる。
作り手にできるのは、すべての人を納得させることではなく、自分が誰の“引き出し”に向けて発信しているのかを自覚し、違和感を納得に転換する“ひと言”が、拡散の過程でも失われずに届く形を設計することだ。綾瀬はるかのユニクロCMが改めて示したのは、この原則である。
【参考・引用文献】
※1:Broadbent, D. E. (1958) Perception and Communication, Pergamon Press.
※2:Treisman, A. M. (1964) Verbal cues, language, and meaning in selective attention, American Journal of Psychology, 77(2), 206-219.
※3:Thorndike, E. L. (1920) A constant error in psychological ratings, Journal of Applied Psychology, 4(1), 25-29.
※4:Dollard, J., L. W. Doob, N. E. Miller, O. H. Mowrer & R. R. Sears (1939) Frustration and Aggression, Yale University Press.
※5:Berlyne, D. E. (1960) Conflict, Arousal, and Curiosity, McGraw-Hill.
※6:Loewenstein, G. (1994) The psychology of curiosity: A review and reinterpretation, Psychological Bulletin, 116(1), 75-98.


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