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「仕方なく飲むもの」から、特別な一杯へ。キリン グリーンズフリーが描く「新定番」に見る、ノンアルコール市場の勝ち筋とは

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  • キリンビール 制作:東洋経済ブランドスタジオ
お酒の代わりから、リフレッシュをもたらす新定番へ。そんなノンアルコール・ビールテイスト飲料の新たな潮流を生み出しているのが、2020年の発売から累計2億本を突破した「キリン グリーンズフリー」だ。「仕方なく飲むもの」から、オンとオフを切り替える特別な一杯へ。ブランド構築を加速させるキリンの「新たなノンアル戦略」とは。今年敢行されたリニューアル、そして同社が行った最新のトレンド調査から、その中身をひも解いていく。

仕方なく飲むものから「選ばれる存在」へ。最新調査が示すノンアルの意識転換

ノンアルは、お酒の代わりに飲むもの――。

その日の体調や翌日の予定などを考慮し、かつては消極的な理由で選ばれていたノンアルコール・ビールテイスト飲料。しかしそれが今、現代人のライフスタイルを支えるポジティブな存在へと変貌を遂げているという。

「その役割は仕事の合間にリフレッシュしたい、あるいは休日の昼間に心地よく過ごしたいといった、活動と休息が混ざり合う『境目』の時間に選ばれる飲料へと変化しています」

キリンビールマーケティング部の児島智之氏は、ノンアルユーザーに起きている変化について、こう分析する。この変化が最も顕著に表れているのが、休日の過ごし方だ。

キリンビール
マーケティング本部 マーケティング部
ビール類カテゴリー戦略担当
ブランドマネージャー
児島 智之

「休日を漫然と過ごすのではなく、自分らしく100%の状態で充実した時間を過ごしたい。そんなポジティブな生活スタイルの変化が、休日でもあえてノンアルを選択するという行動につながっています」(児島氏)

日常を自分らしく過ごすための「リフレッシュツール」としてノンアルが機能し始めている中、グリーンズフリーは、まさにこの「オンオフを切り替える時、ビールの爽快感で気分を変えたい」という能動的な欲求や、「日常を自分でコントロールしたい」という現代人の期待に応える存在となっている。

意識の変化は、数字にもはっきりと表れている。同社調査(※概要は下記)によれば、「リフレッシュ・気分転換したい」と回答したグリーンズフリーユーザーは47.0%で、全体平均の22.7%を大きく上回った。

<調査概要>
■タイトル:「ノンアルコール飲料ユーザー調査」
■実施時期:2026年3月30日(月)~4月1日(水)
■調査対象:ノンアルコール飲料を1カ月以内に飲んだ20代~50代の男女1,100人
うち100人は「キリン グリーンズフリー」を1カ月以内に飲んだ男女
■調査手法:インターネット調査
■調査委託先:楽天インサイト ※グラフの構成比(%)は小数第2位以下を四捨五入しているため、合計しても100%にならない場合があります。
キリンビール「ノンアルコール飲料ユーザー調査」より抜粋し、東洋経済作成

また「休日のノンアル飲用と飲用理由」という設問では、「リフレッシュしたいから」という項目において全体平均が28.8%に対して、グリーンズフリーユーザーは43.9%と、高い水準を示した。

キリンビール「ノンアルコール飲料ユーザー調査」より抜粋し、東洋経済作成

かつて食中飲料としての意味合いが強かったノンアルは、もはや「仕方なく飲む飲み物」ではなく、さまざまな場面で気分を切り替えるスイッチのような存在になりつつある。

差別化の軸は「リフレッシュ感」味わいで独自価値を追求

こうした新たなニーズの広がりを理解するうえで欠かせないのが、同社のポートフォリオ戦略だ。同社はノンアルコール・ビールテイスト飲料市場のニーズを大きく3つに整理している。1つ目は「本格的なビールの味わいを楽しみたい」、2つ目は「爽やかにリフレッシュしたい」、そして3つ目が「健康志向」だ。

「グリーンズフリーは特に2つ目、リフレッシュしたいという方に指名買いしてもらえるブランドを目指しています。気分を変えたいときはグリーンズフリーだと、お客様の頭に最初に思い浮かぶ独自性が大事だと思っています」(児島氏)

ブランドの独自性を支えているのは、商品そのものの磨き込みだ。グリーンズフリーのマーケティングを担当する小澤彩美氏はこう説明する。

キリンビール
マーケティング本部 マーケティング部
ビール類カテゴリー戦略担当
アシスタントブランドマネージャー
小澤 彩美

「味の骨格はニュージーランド産の希少ホップ『ネルソンソーヴィン』を含む3種のホップで形づくられています。ビールらしい味わいに加え、3種のホップを使用することで苦み、香り、フルーティーさのバランスを緻密に整えているのも特徴です」

さらに、2026年のリニューアルでは「コーヒーチェリー香料」を新たに採用した。これはコーヒー製造工程で通常は廃棄される、コーヒーの実の果皮・果肉部分を活用したものだ。

「グリーンズフリーはノンアルコールなので、発酵をさせていません。そこで、キリンが保有するワイン醸造の知見も応用しながら、コーヒーチェリー香料でお酒らしい発酵感をもたらすことで、飲みごたえの強化を目指しました」(小澤氏)

また味だけでなく、パッケージデザインもリニューアルされた。象徴的なエメラルドグリーンはそのままに、商品名を囲うフラッグのデザインはより軽やかで右肩上がりのフォルムへ。余白を生かすことで、洗練された印象と品質感を高めている。小澤氏は、その狙いについて、「気持ちが軽やかになるパッケージにしたいと考えました」と語る。

上質感を醸し出すエメラルドグリーンの色味を忠実に再現するため、工場まで何度も足を運んで仕上がりを確認したという徹底ぶりだ。手にした瞬間から気持ちが軽やかになる存在であること。このデザイン思想は、グリーンズフリーが提供したい価値そのものと重なる。

キリンのビールづくりの技術を結集させて実現

そしてグリーンズフリーの進化を支えているのは確かな技術と、それを受け継ぎながら刷新していく人の力だ。今回のリニューアルの中核を担ったのは、「キリン一番搾り生ビール」の開発にも携わる30代前後の若手メンバーたち。その根底には、キリンビールが長年培ってきた醸造哲学が深く息づいている。

「商品開発に携わるメンバーは、キリンのビール造りの歴史と伝統をベースに新しい発想を掛け合わせることで今の時代のお客様に合わせたアップデートを行っています」(児島氏)

開発期間は約1年半から2年。コーヒーチェリー香料の研究を担う「飲料未来研究所」と、味覚全体のアップデートを手がける「商品開発研究所」が組織横断で連携し、今回の刷新を実現した。

「お客様から見たら、そこまでやるのかと思われるようなことにも取り組んでいます」と児島氏が語るように、そのこだわりは細部にまで及ぶ。長い歴史の中で培われた技術と、時代に合わせて挑戦を続ける開発陣の感性。その先に見据えるのは、グリーンズフリーをノンアルという枠にとどまらない存在へと進化させることだ。

「現代人は本当に忙しく、さまざまな役割を持って毎日を過ごされています。気持ちを軽やかにするためのリフレッシュを、グリーンズフリーを飲めばいつでもどこでも気軽にできる。そんなブランドになりたいと思っています」(小澤氏)

「仕方なく飲むもの」から、飲みたいから飲む「特別な一杯」へ。グリーンズフリーが押し広げているのは、ノンアルの可能性だけではない。目まぐるしく過ぎていく日常におけるリフレッシュとは何か、気分を切り替えるとはどういうことか。そうした価値観そのものを、少しずつ塗り替え始めている。

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