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ライフ #再開発されない街

「再開発するにもまとまった土地がない」「行政も大規模開発を考えてない」…江東区の街「森下」が再開発されないワケ

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森下
森下はなぜ再開発されないのだろうか?(写真:筆者撮影)
  • 坪川 うた ショッピングセンター研究家・ライター
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一方、森下は軽工業の工場が中心で大規模な工場がなかったため、再開発をするまとまった土地が捻出されなかった。

また江東区には、関東大震災後の復興計画に基づいて設立された財団法人・同潤会のアパートや公営住宅が建てられ、のちにその土地で市街地再開発事業が実施されている。

白河三丁目地区、白河・三好地区、住吉・毛利地区の市街地再開発事業は旧同潤会アパートの建て替え、古石場二丁目地区は旧東京市営住宅の建て替えを中心としたものだ。

白河・三好地区の市街地再開発事業で建てられたタワマン。公営住宅の建て替えは商業施設やタワマンが作られるきっかけになるが、森下にはそのような公営住宅が少なかった(写真:筆者撮影)

だが森下にはそのような公営住宅も少なかったため、一体的な再開発をする土地が生まれなかった。

駅の形態と商店街の存在

森下が再開発されない理由には、「地下鉄駅のみであること」も挙げられるだろう。森下駅には都営地下鉄新宿線と大江戸線の2路線が乗り入れているが、いずれも地下鉄である。

地上駅であれば駅舎の建て替えや線路の高架化が再開発の契機となり得るが、地下鉄駅ではそれは起こらない。

また「古くからの商店街や下町情緒が根付いていること」も大きい。前編で詳報したとおり、森下には明治時代に端を発する高橋商店街が存在する。

現在は大勢で賑わうというより地元の人が利用するこぢんまりとした商店街といった雰囲気だが、かつては門前仲町よりも栄えていたそうだ。『江東区の民俗 深川編』には、「昔のね、結構この辺歓楽街だったの。門前仲町より賑やかだったんですね。高橋ってとこは」との声が記録されている。

古くから栄えた高橋商店街(写真:筆者撮影)

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【深川エリア特有の下町文化や景観が残る】

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