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セキュリティ人材が次々辞める「負のループ」の正体とは? 給与だけじゃない…企業が見直すべき「3つの構造問題」

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退職届を出そうとする社員と制止する上司
セキュリティ人材を採用しても定着しない組織には人が離れていく「負のループ」がある(写真:beauty-box / PIXTA)
  • 伊藤 秀明 AIセキュリティ コンサルティング&ソリューション事業統括本部 シニアマネージャー
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にもかかわらず、セキュリティ担当者の声が経営に届かない構造が続けば、担当者は「自分たちの仕事は組織に理解されていない」と感じます。それが離職につながり、またループが一周する。

ここまで見てきた3つの構造問題、つまり成果の見えにくさが評価を困難にし、属人化が離職のダメージを拡大し、経営の不関与がそれらを放置させている。この構造を変えられるのは、現場ではなく経営層やマネジメント層です。

負のループを断ち切るために経営層ができること

では、具体的にどうすればよいのでしょうか。次の3つの視点が手がかりになります。取り組みやすいものから順に紹介します。

  •  セキュリティを「経営アジェンダ」として明確に位置づけ:担当者任せにせず、経営会議で定期的に議題にする

  •  セキュリティ担当者のキャリアパスと評価基準を整備:専門性を生かせる道筋を示し、成果が見えにくい仕事こそ評価の仕組みで報いる

  •  担当者が経営層に直接報告・提言できるラインを確保:情報がIT部門内で止まらない構造を作る

いずれも、大きな予算をかけなくても着手できるものです。セキュリティの専任者がいない組織でも、兼任の担当者に対してこれらの視点を適用できます。むしろ兼任だからこそ、セキュリティ業務を正式な職務として認め、評価の対象にすることが定着の鍵になります。

1つ目の「経営アジェンダ化」は、経営会議の議題にセキュリティの項目を月1回加えることから始められます。ここで大切なのは、「今月はフィッシングメールを何件検知し、うち何件を水際で防いだか」「次の四半期で対応が必要なリスクは何か」といった具体的な項目を議題に含めることです。

単月の件数だけでなく過去半年の推移を示すと、経営層も変化の方向を直感的に判断でき、報告が実のある議論につながりやすくなります。「何も起きなかった」ではなく「何を防いだか」を共有する場にすることで、セキュリティの仕事が経営層の目に見えるようになります。

次ページが続きます:
【対話が「仕事を見てくれている」安心感に】

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