出光興産の脱炭素推進、東京都と連携し描く未来 エネルギーのへらす・つくる・ためるを促進

節電やEV充電でポイント進呈の仕組み
今や、地球温暖化ではなく「地球沸騰化」ともいわれるほど気候変動は深刻化している。とりわけ夏季は猛暑が続いており、電力需給が逼迫するリスクは高い。
そうした中、東京都は「HTT(へらす・つくる・ためる)」をキーワードに脱炭素化の取り組みを進めている。2023年8月には、HTTやカーボンニュートラルに取り組む都内企業を「HTT取組推進宣言企業」として登録する制度を開始。25年11月20日時点で671社が登録している。

その1社が出光興産だ。同社の電力事業「idemitsuでんき」で実施する「節電プログラム」および電気自動車を活用する「EV充電タイム」に新規で申し込んだ東京都内の個人を対象に、ポイント(楽天ポイント、Pontaポイントもしくはdポイント)を進呈する。
電力・再生可能エネルギー事業部
販売企画課 担当マネジャー
黒田 さよ子氏
「『節電プログラム』は電力の需給が逼迫しそうなときなどに、当社からメールで節電をお願いするものです。『EV充電タイム』は、天気がよく太陽光発電が多い時間帯や、電力需要の少ない深夜などにメールでEV充電をお願いしています。いずれも、ご協力いただいた分だけポイントを進呈します」。そう説明するのは、出光興産 電力・再生可能エネルギー事業部 販売企画課 担当マネジャーの黒田さよ子氏。
取り組みによる温室効果ガスの削減量を数字だけでなく「杉の木X本分のCO2吸収量に相当」など木がCO2を吸収した場合の本数で換算して達成度合いをメールで知らせるなど、参加の実感を促す仕掛けも施している。「メールが届くことで節電の意識が高まる」「ポイントがもらえるうえ、社会に貢献できるのがうれしい」といった口コミがあるなど、着実に成果が表れているという。
エネルギー安定供給のため「一歩先」の可能性を追求
そもそも脱炭素社会は、特定の企業や個人が取り組むだけで実現できるものではない。社会全体で電力の「HTT(へらす・つくる・ためる)」を意識して取り組み続けることが必要だ。出光興産がHTTアクションに参画した理由もそこにあると黒田氏は話す。
「当社のようなエネルギー会社がアクションを起こすことはもちろん、日常生活で一人ひとりが省エネのマインドを持つことが重要です。お客様も日常的な電力使用の中で脱炭素化を実践していると実感できる取り組みとして、『節電プログラム』や『EV充電タイム』に力を入れてきました。HTTと連携することで、さらに活動の輪を広げたいと思っています。特に『EV充電タイム』は、クルマに燃料を供給している出光興産ならではの取り組みであることに加え、都も補助事業でEV購入を支援していること、ご家庭では機会の少ない『ためる』に取り組みやすいプログラムでもありますので、都民の皆様に広く知っていただきたいと考えています」(黒田氏)

なお、出光興産は東京都と、再生可能エネルギーを有効活用する取り組みで以前から協業している。20年度から6年連続で、固定価格での買い取り期間が終了した「卒FIT電力」を買い取り、東京都所有施設で活用する「とちょう電力プラン」の供給事業者に選定されているのだ。
「再生可能エネルギーへの取り組みは、1970年代のオイルショック後から半世紀以上にわたって続けてきました。地熱発電や太陽光発電に加え、現在は持続可能な航空燃料『SAF(Sustainable Aviation Fuel)』やアンモニアなど『一歩先のエネルギー』の可能性を追求しています。エネルギーと素材を安定的に供給し続けるとともに、未来の地球環境を守るため、カーボンニュートラル社会の実現に貢献するのが当社の社会的使命と捉えているからです」(黒田氏)
当然、サプライチェーン全体での温室効果ガス排出量削減にも本腰を入れて取り組んでいる。注目は、既存の製油所・事業所の敷地・設備の特徴や強みを生かしながら、新たにCN燃料・製品の供給拠点へと転換するCNX(カーボン・ニュートラル・トランスフォーメーション)センター化構想だ。各拠点が所在するコンビナートの特色や需要に応じた新たなサプライチェーンを構築し、コンビナート全体でのCN化に貢献する。「一歩先のエネルギー」の可能性を追求する取り組みとともに「(H)へらす」を着実に実行していることがわかる。
HTTがハブとなって脱炭素社会の実現を推進
「(T)つくる」の取り組みとしては、国産木材を活用し、太陽光発電パネルを設置するなどした環境配慮型のサービスステーションを2025年度中に30店舗開所する予定だ。また、自社施設敷地内の遊休地や製油所跡地を活用してバイオマス発電所や自家消費用の太陽光発電所を設置してきた。
「(T)ためる」に関しては、「EV充電タイム」だけでなく、自治体や企業向けに太陽光発電やEV、蓄電池などとエネルギーマネジメントシステムを組み合わせた「idemitsu CN支援サービス」を展開。電力利用を最適化することで、環境負荷低減だけでなくエネルギー利用の効率化や災害時のレジリエンス向上にもつなげている。
「今後は、EV向けの次世代電池材料や使用済みプラスチックリサイクルの研究開発が本格化します。また、全国のサービスステーションを地域の課題を解決する生活支援基地として進化させる『スマートよろずや構想』も着実に進めていきます」(黒田氏)
こうした取り組みを出光興産1社だけで推進するのではなく、「節電プログラム」「EV充電タイム」などを通して都民一人ひとりと共に実現することが、HTT連携の重要なポイントだ。
「各社の取り組みが集まり、都民の皆様が参加することで、脱炭素社会の実現を目指す輪が生まれ、そこから東京都以外の企業や消費者に知れ渡り、活動の輪が広がることも期待できるのではないかと思っています。社会全体のカーボンニュートラルをさらに進める一歩として、まだHTTアクションに参加していない企業様は、この機会に検討していただければと思います」(黒田氏)
HTT取組推進宣言企業
登録申請受付中
670を超える企業・団体が登録している「HTT取組推進宣言企業」(2025年12月現在)。登録した企業には、以下のような特典があります。
HTT取組推進宣言企業の特典とは?
都内に本社または事業所を置く企業・団体などであれば、以下より登録申請が可能です。



