AI時代到来が「PC」の機能を根本から変える理由 新たな「パソコン」へ進化するAI PCの真の実力

PCはもはや「パーソナルコンピューター」ではない
職場でのAI利用は着実に進んでいる。独立行政法人労働政策研究・研修機構が2025年5月に発表した調査結果※によれば、AI使用企業のAI使用状況が24年6月時点で2年前より「大幅に/やや拡大している」との回答が57.9%と6割近かった。また、AI利用で「仕事のパフォーマンス」が「かなり改善した/少し改善した」と回答した人の合計は60.6%に達している。
※出所:2025年5月23日発表「AIの職場導入による働き方への影響等に関する調査」独立行政法人労働政策研究・研修機構
この状況について、日本HP パーソナルシステムズ事業本部 クライアントビジネス本部 CMIT製品部 部長の岡宣明氏は「ビジネスパーソンの働き方が大きく変わろうとしている」と話す。

パーソナルシステムズ事業本部 クライアントビジネス本部 CMIT製品部
部長
岡 宣明 氏
「積極的にAIを業務で活用する動きが顕在化しています。プライベートで生成AIを使ってみてその効果を知り、もっと力を発揮できる業務に時間を使えるようになると考えるビジネスパーソンが増えました。経営者の方々も、これからさらに人手不足が深刻化して競争が激しくなることを見据え、AIを活用して生産性の向上を目指そうとしています」
例えば反復的なタスクを自動化することで、より重要なことに取り組む時間が確保できる。そうやってAIの業務活用が増えることで、業務に欠かせないPCの機能は著しく進化。「20年前と比べて、PCの見た目はあまり変わりませんが、中身はまったくの別物になっています」と岡氏は強調する。
「従来、PCは『パーソナルコンピューター』、つまり卓上電子計算機でした。しかし、次世代PCといわれる『AI PC』は、AIがユーザーに寄り添い、そのユーザーの働き方や得意なこと、苦手なことを理解して対応する『パーソナルコンパニオン』へと進化しています。同じ『パソコン』でも、画一的な計算機から、ユーザーをアシストするインテリジェントな存在になってきているのです」
ビジネス利用を加速させる「AIのローカル化」
「パーソナルコンピューター」から「パーソナルコンパニオン」への進化とともに、押さえておきたいトレンドが「AIのローカル化」である。現在、生成AIの多くがそうであるように、AIへのアクセスはクラウド上で行われるのが一般的だが、今後は「オンデバイスAI」、すなわちPCに搭載されたAIが使われるようになっていくという。
「最大の理由は、データセンターに対する負荷が急速に増していることです。世界中の人が生成AIを日常的に使うようになったため、データセンターの消費電力が増えており、今後、クラウド上でのAI活用が限界を迎える可能性があります。すでにスマートフォンはローカル上でさまざまな処理ができるように変わってきていますが、PCも同様に『オンデバイスAI』になっていくとの予測が強まっています」
クラウド上で使えないというのはネガティブに響くが、岡氏は「むしろビジネス用途において、オンデバイスAIのPCはメリットがある」と話す。
「最もわかりやすいメリットはスピードです。生成AIで画像を生成し、一定時間待った経験を持つ人は多いと思いますが、ローカル上ならばすぐにできます。もう1つのメリットはコスト削減です。クラウドサービスの生成AIを契約していた場合、サブスクリプションコストを削減できます。クラウド利用を抑えることで、省エネにもつながります」
セキュリティー面でのアドバンテージも見逃せない。たとえデータセンターでセキュリティーが担保されていても、クラウド上で顧客情報や経営データを扱っていると心理的な負担がどうしてもかかる。とくにセンシティブな情報を扱う業界では、コンプライアンスの観点でもローカル上でAIが利用できるメリットは大きいといえよう。
もちろん、すべてのAIがローカル化するわけではない。クラウド利用を続けたい人も多いだろう。しかし、消費電力の問題を踏まえると、クラウド一辺倒にはならないだろうことは予想がつく。岡氏も「ローカルとクラウドを使い分ける『ハイブリッドAI』が主流になるといわれている」と指摘する。
「そうなると、高いAI処理性能を持つNPUと呼ばれるAI専用のプロセッサーを搭載した『AI PC』が当たり前の存在になっていくでしょう。数年後にはPCのスタンダードとなり、『AI PC』という呼称すら使われなくなるのではないかと思います」
業務効率化に加え「快適な働き方」を強力アシスト

AI活用を前提に最適化されたCopilot+ PC。NPUはCopilot+ PCの規定である40TOPSを大きく上回る48TOPS。高いAI処理性能を持ちながら、1.2kgを下回る軽量さなのでどこでもAIを活用できる
岡氏の言葉どおりAI PCが標準化すれば、企業におけるPCの選定基準もアップデートしなくてはならない。従来、CPUやメモリー、ストレージなどの比較検討が一般的だったのが、NPUでAI処理性能も確かめる必要があるだろう。
一方で、AIの進化スピードを踏まえると、AIを活用した業務がスタンダードになる可能性は高い。専門知識を持ったいわゆるAI人材だけでなく、誰もが簡単に使えるAI PCも必要だ。日本HPのAI PCには、そんなニーズに対応したアシストツールがいくつも搭載されている。
その1つが、40TOPS※以上のAI PCで無償利用できる「AI Companion」だ。ローカルとクラウドを切り替えられるため、「これはセキュアに使いたい」など状況に応じて簡単に双方の環境下でAI活用ができる。
※TOPSとは、NPUの性能評価に用いられる単位。1秒間に何兆回の演算が実行できるかを示す。40TOPSは、1秒間に40兆回の演算が実行できることを意味する。
「調べたいことを何でも質問して新たなアイデアを探求できる『検出(Discover)』、自分のファイルから実用的なインサイトを取得したり、ドキュメントを分析・比較してレポートの要約や下書きをしたりする『分析(Analyze)』、自然言語でPCの設定やトラブルシューティングができる『Perform』といった機能が搭載されています。毎日の業務を効率化し、生産性を高めるのに役立ちます」
リモート会議ツールが先進的な機能を有している点も注目したい。「Poly Camera Pro」は、さまざまなソースの複合コンテンツを簡単に作ることができる。料理をしている手元を見せながらWebページや自分の姿を同時に映すといった高度な映像も実現。自然言語で要望を伝えただけで背景画像を生成できる「マジック背景」など、普段リモート会議でカメラオフにしている人が思わずカメラをオンにしたくなるような機能が充実している。

さらに、アウトプットに寄与しなくても、快適な働き方をサポートする機能に力を入れているのも見逃せない。
「加速度センサーとAIがユーザーの『動きのパターン』を学習し、快適にPCを使えるよう制御する機能を数多く実装しています。例えば、ひざの上に置くと熱くならないように制御したり、カバンから取り出して電源を入れそうになったらウェイクアップする準備をしたりといった具合です」
そのほか、バッテリー寿命の延長やディスプレーの改善、光の状態を検知するAIでユーザー本来の色を表現してリモート会議中のカメラ画像を向上といった機能も発揮。のぞき見を自動検知してプライバシースクリーンにするSure Viewという機密情報保護機能もあるので、カフェや交通機関でPCを使いたいときにも便利だ。

AMDとHPが共同開発したNPUを搭載。55TOPSとAI処理性能は非常に高く、AIを用いた開発やパワフルなパフォーマンスを求めるビジネスパーソンに最適。量子コンピュータによる攻撃からファームウェアを保護する高度な防御機能も搭載
まさに、画一的な計算機としての「パーソナルコンピューター」から、AIがユーザーのために働く「パーソナルコンパニオン」へと進化している日本HPのAI PC。
電源オフもしくはインターネットに接続されていない状態でも遠隔でロック、データ消去ができる画期的なMDM(モバイルデバイス管理)「HP Protect and Trace with Wolf Connect」や、5年間データ量無制限のauネットワーク通信サービス利用権付きの「HP eSIM Connect」(法人限定)など、どこでも安心してAI PCが使えるソリューションが用意されているのも魅力だ。
Windows 10のサポート終了が2025年10月に迫る現在、業務効率化だけでなく快適な働き方を支え、従業員エンゲージメント向上にも貢献する存在として、有力な選択肢となってくるのではないだろうか。
⇒日本HPのAI PCについて詳しくはこちら