ウーバーの「遅延急増」現役配達員が語る"実情" 報酬減額で超高額案件が生まれる歪な背景とは
飲食店の前でたむろする「地蔵」と呼ばれる配達員を覚えているだろうか。あの迷惑な光景は、配達員同士で注文依頼を奪い合っていたことを意味する。しかし今はどうだろう。四角いバッグを背負った配達員を見つけるほうが難しいのではないか。
なぜ配達員の数が減少してしまったのか。それはウーバー配達員という仕事が「稼げる仕事」から「稼げない仕事」にカラーチェンジしたことが大きい。
背景には「ウーバー配達の低時給化」がある
新型コロナウイルスが世界中を騒がせていた頃、私のウーバーでの収入は時給換算1500~2000円前後で推移していた。これがアフターコロナ後、700円前後の低空飛行がデフォルトになった。時間によっては時給換算0円になることも多々ある。
ウーバー配達員は時給制ではなく、こなした仕事量によって収入が決まる。最低時給を下回る報酬体系に魅力は少ない。
このタイミングでウーバーは悪手を打った。配達員が店で商品を受け取り、お客様のところへ配送する「1店1顧客」の配送頻度を減らし、「1店2顧客」「2店2顧客」など、複数同時配送の頻度を増やしていったのだ。
ここで問題なのは、複数配送の料金設定だ。ウーバー配達員は(距離等によって変動するうえで)1件あたり300~500円前後の報酬が多い。これが2件同時配送の場合、400~700円前後で「割安におまとめ」される。
ウーバーの報酬体系は明らかにされていない。よって真意は不明だが、もしかしたら配達員の減少を見越し、配送の効率化を目指したのかもしれない。とはいえ配達員からすると「報酬を引き下げられた」と感じても何ら不思議ではなく、諸々の状況に嫌気が差したのか、顔見知りの配達員はいつの間にか消えてしまった。
そして今、雨の日や夏冬の繁忙期など注文オーダーが集中する日、配達員不足に困るようになった。この危機的状況を改善する目的か、それともウーバーの配車システムのバグなのか……配達員の間で今話題になっているのが「マグロ・クジラ」と呼ばれる高額案件だ。
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