「サガプライズ!」始まる。 佐賀県発の地方創生プロジェクトとは?

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鉄を精錬する反射炉、動力を得る蒸気機関など、明治の近代化を支えた技術の先駆者は、佐賀藩だった。鎖国をしていた江戸時代にも、出島のある長崎に隣接していた佐賀藩は列強の情報をいち早く入手することができたからだ。そして今、佐賀は再び「情報」を用いて挑戦を始める。情報発信による地方創生プロジェクト「サガプライズ!」とはどんな取り組みなのか。仕掛け人の山口祥義(やまぐちよしのり)佐賀県知事に、東京大学の後輩であるタレントの加藤ゆり氏が迫る。

キーワードは「驚き」
情報発信による地方創生を

山口 初めまして、ですか?実は私、4年前駒場の東京大学教養学部で地域政策論を教えていたから、もしかしたら教室でお会いしているかもしれません。

加藤 初めまして、です。知事にお会いするということで確認してみたんですが、残念なことに、知事が講義をされていたのは私の卒業後でした。

山口 そうでしたか。とはいえ、後輩であることに変わりはないですね。佐賀はいかがですか。

加藤 ここに来るまで、佐賀県に関するアンテナを張っていたんです。そうしたら情報がどんどん入ってきました。有田焼はモダンなデザインなものが東京でも売られていますし、佐賀県を訪れるタイの方が多いというニュースもテレビで見ました。

山口 佐賀でタイのドラマ撮影をしたことがきっかけで、ずいぶん大勢の観光客がタイから来県しています。ロケ地を訪れるのがメインですが、佐賀の観光も楽しんでいただいています。佐賀県には、いいものがたくさんありますから。有田焼、佐賀牛、佐賀の海苔、呼子のイカ、さがほのかというイチゴ、それから吉野ヶ里遺跡、あるいは世界遺産に登録された三重津海軍所跡など、老若男女どなたでも楽しんでいただけます。アンテナを張らなくてもキャッチしていただけるようにもっと情報を出していきたいですね。

加藤 では、本題ですが、新しい情報発信プロジェクト「サガプライズ!」とはどういうものなのでしょうか。

山口 一言で言うと、情報発信による地方創生です。先ほども言ったように佐賀には本当にいい資源がたくさんある。でも今はそれをそのまま出しているようなところがあるんです。素材輸出型と言えばいいのかな。そこに付加価値をつけて磨きをかければ魅力が増すはずですが、いくらものがよくても必要とされなければ誰にも注目されません。そのために企業とのコラボによりマーケットインの視点を取り入れ、市場でのニーズを探りながら、佐賀県の魅力ある資源をさらに磨きあげていきます。

加藤 いろいろな企業や人とコラボしたら、予想を超えたものができるかもしれませんね。

山口祥義
(やまぐちよしのり)
1989年に東京大学法学部を卒業後、自治省(現、総務省)に入省。秋田県、鳥取県、長崎県、消防庁、内閣府への出向を経て、11年には東京大学大学院総合文化研究科客員教授。JTB総合研究所地域振興ディレクター、ラグビーワールドカップ2019組織委員会事務総長特別補佐を経験し、15年1月より現職。1965年7月1日、埼玉県生まれ。両親が佐賀県白石町出身

山口 そう、そこが一つのポイントなんです。ものに限らずサービスなども含めて、何が出てくるかわからないとしたら、ワクワクドキドキするし、驚くでしょう。だから佐賀のサプライズで「サガプライズ!」というネーミングです。

ミラノ博に佐賀県が出展したとき、ガチャガチャをたくさん並べたんです。ハンドルをひねるとカプセルに入った有田焼の景品が出てくるガチャガチャです。そうしたらヨーロッパの人たちが楽しんでいたんですよ、大人も子供も。何が出てくるんだろうって目を輝かせながらカプセルを開けて、また大笑い。そういうワクワク感を大事にしたいですね。

加藤 サプライズはいくつになっても嬉しいものですね。

山口 そうしたコラボから生まれたものの情報を全国に向けて発信し、話題づくり、ファンづくりに結び付けていこうと考えています。

加藤 なるほど、だから情報発信による地方創生というのですね。

話題づくりで終わらせず
地域資産として還元

山口 でもね加藤さん、情報発信するところで終わらないのが「サガプライズ!」の特徴なんですよ。情報発信によって話題づくりやファンづくりができたら、それを地元の佐賀にフィードバックするんです。

加藤 それは、どういうことでしょうか。

山口 話題づくりやファンづくりは、どうしても東京などの大都市圏でのことが多くなってしまいます。そこで終わりとせず、その手法を県内の

地域に持ちこんで、地域の魅力づくりに再活用したいんです。そうやって県を活性化させ、佐賀県の魅力ある地域資産をさらに増やしていくのが「サガプライズ!」の目指すところです。

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