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目利き力と潜在的な課題の掘り起こしで
高効率スマート社会の基盤を担う

技術商社機能を持つ
メーカーとは

東京エレクトロンデバイス(2760・東P)

半導体やIT機器の取り扱いなどで、存在感を高めてきた東京エレクトロンデバイス。 高効率スマート社会の実現に寄与すべく、プライベートブランド製品の開発にも注力している。 3つの事業を展開し「技術商社機能を持つメーカー」をビジョンに掲げ、新たなフェーズに入っている。 成長戦略の舵をとる徳重敦之(とくしげ・あつし)代表取締役社長も手応えを感じているようだ。

2023/10/04
制作:東洋経済ブランドスタジオ

半導体を主力に3つの事業を展開

――東京エレクトロンデバイスの事業について教えてください。

東京エレクトロンデバイス 代表取締役社長 徳重敦之氏
東京エレクトロンデバイス 代表取締役社長 徳重敦之

徳重 当社は、東京エレクトロンから電子部品部門を譲り受け、半導体および電子デバイスを販売するエレクトロニクス商社としてスタートしました。現在は「半導体および電子デバイス(EC)事業」「コンピュータシステム関連(CN)事業」「プライベートブランド(PB)事業」を展開しています。

EC事業は、米国やドイツなどの海外有力メーカー約40社の半導体製品を取り扱っています。世界的な半導体需要の拡大が続く中、これまで培ってきた強固な販路を通じて、顧客の課題解決に資する製品を提供しています。また、専任エンジニアによる技術的なサポートで顧客との緊密な関係を継続させています。

CN事業は、新規性・専門性の高いシリコンバレーのIT製品(ネットワーク、ストレージなどのインフラ機器)や、先進的なセキュリティ製品、保守サポート・運用サービスなどを提供しています。

PB事業は、エレクトロニクス商社としての技術力・マーケティング力を生かした設計・量産受託サービス(デザイン&マニュファクチャリングサービス)と、データサイエンス・画像認識・ロボティクスを駆使したモノづくりシステムの開発に注力しています。

当社は3つの事業展開により、国内の製造業を中心に約2500の取引先・顧客基盤を構築してきました。これまで培ってきた専門性の高い技術、情報、サービスを融合させ、新しいサービスやテクノロジーを探し出す目利き力が、顧客の顕在化した課題のみならず、潜在的な課題へのアプローチを実現する礎となっています。

3つの事業展開

技術商社機能に加えてメーカービジネスも進化

――中期経営計画「VISION 2025(目標年度:2025年3月期)」では、「技術商社機能を持つメーカー」への進化を掲げています。

徳重 当社は、かねてより増収率より増益率が高い状態「増益増収」で持続的に成長することを標榜しており、これまで利益の質の改善に積極的に取り組んできました。その結果、2023年3月期には、中期経営計画の業績目標を前倒しで達成しました。半導体については、産業機器や車載分野において、顧客基盤の拡大によるさらなる成長を目標に、邁進していきます。

一方で、利益の最大化を図るうえで、他社製品を販売する技術商社機能だけでは限界があります。需要が旺盛な半導体市場でも、競争環境は激しく変化しています。

変化の荒波に対応するためにも、PB事業を伸ばしてメーカーの役割を拡充することが重要です。今後も日本経済の低成長が続くと予想されていますが、その中でも高効率スマート社会へ向かうことは間違いないでしょう。そこで、当社は「DRIVING DIGITAL TRANSFORMATION」をミッションとし、顧客が求めるさまざまなコアテクノロジー・ソリューションの創出と提供を加速させています。先端テクノロジーの知見をもとに製品を開発することで、顧客の業務効率化、生産性向上に寄与できると考えています。

製造現場の労働コスト課題にフォーカスした装置を開発

――すでに、新しいチャレンジが始まっています。

徳重 全社員がマーケターであれと、繰り返し社内に発信しています。CN事業では、課金制のストック型サービスを強化すべく、ITシステムのセキュリティ監視など高成長分野に独自サービスを増やしています。

ほかにも、超高速ディープラーニングや深層学習リソースの課金型サービスなど、データビジネス、サービスビジネス、ストックビジネスの拡大による高収益ビジネスへの移行を目指しています。

PB事業でも、顧客の労働生産性の向上に寄与するため、主に生産現場の自動化を実現する製品の開発に注力しています。2020年に販売開始した化合物半導体ウエハ検査装置「RAYSENS(レイセンス)」は、半導体基板や半導体素子の材料となる円盤状の薄い板(化合物ウエハ)の表面についた微細なキズなどを高速・高感度で捉えることができます。

「RAYSENS」によって、これまで検査員が目視で確認していた欠陥を自動検知に置き換えられるため、国内のみならず欧州、中国、台湾などのウエハサプライヤーやデバイスサプライヤーからの需要拡大を見込んでいます。

ほかにも、不規則な形状の部品などのピッキングや仕分けを自動化するビジョン・ロボット・システム「TriMath(トリマス)」も開発。製造や物流現場のスマート化を後押しするツールとして期待が寄せられています。さらに、第2種医療機器製造販売業許可を取得し、医療機器製造業の登録も完了しましたので、医療機器のODM(Original Design Manufacturing : 独自に開発製造した製品を他社ブランドで提供するビジネス) も本格化させる予定です。例えば、血糖値検査などに使われる体外診断用機器、センサーを活用した医療用スマートウェアなどの開発を進めています。われわれのODMは、医療関連企業から注目されており、ビジネスチャンスが拡大しています。

――メーカーとして半導体製造装置、産業機器、医療機器など幅広い分野に挑戦していることが理解できました。

徳重 速いスピードで市場が変化しているので、EC・CN・PBの3つの事業でさらに強固なビジネスを構築したいと考えています。2024年10月には、渋谷に本社を移転します。事業の基盤を集約させ、さらなる成長を目指していきます。

>>東京エレクトロンデバイスの公式サイトはこちら