55歳でフリー、元NHK武田真一アナ決断の背景 職員時代から一転、24時間妻と過ごす生活に

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(撮影/廣瀬靖士) 

“相方”からのツッコミの洗礼も、「最初はどうしていいかわかりませんでした」と苦笑い。報道の作法とお笑いの作法もまた違う。

「お笑いの構造というのがあって、例えば“いやー、山ちゃんは本当にスゴイよ!”と褒め合う芸があるんですよね。最初は素直にお互いリスペクトし合っているんだなと思っていたけれど、実は“そんなにハードル上げないでよ!”というオチだった。それを僕だけわかっていなかったんです」

一方、ここぞの有事には報道歴33年の手腕を発揮。北朝鮮が弾道ミサイルを発射した際は臨時ニュースを落ち着いた声音で伝え、“さすが!”と話題を呼んだ。番組における自身の役割をこう話す。

「いろいろなニュースを見てきたので、そこで培った自分なりの物の見方や情報を加えていけたらと思っています。ただ放送というのは実績があるからできるというわけではなくて、毎日扱う情報も違えばみなさんの価値観もアップデートされていく。そこについていくのに精いっぱいで、過去の実績に自信を持っている暇がない。常に自分をアップデートしていかなければいけない。それがこの仕事をしていて一番学んだことかもしれません」

ギター歴は30年。毎日家で弾いて息抜き

報道のエースから朝の情報番組の顔へ。新たなチャレンジが続くが、日々のちょっとした息抜きはというと?

「ギターです。毎日家でぽろぽろ弾いています(笑)」

中学で音楽に目覚め、「将来の夢はロックンローラーだった」という筋金入りのロック少年。高校時代はバンドを組み、ギター歴は30年に及ぶ。 

「ザ・スミスのジョニー・マーが大好きで、30年間ずっと彼の曲を弾き続けています。ギターはマーティンのアコギとギブソンのセミアコとフェンダーのジャガーの3本持っていて、ジャガーはここ最近、メルカリで購入しました。退職記念のご褒美です」 

と、この日一番の大きな笑顔。『DayDay.』がスタートして1カ月あまり。「現時点の手応えは?」の質問に「まだまだ模索状態です」。理想の番組を目指し手探りの日々が続く。

「世間の評価というのはなかなか難しく、やはり誰もが面白いと思うことは一朝一夕にできるものではない、というのはわかっています。今いろいろなコーナーにチャレンジしているところで、“これは『DayDay.』ならではだよね”という企画が生まれ、育てていければと思っていて。目指すのは『DayDay.』をお喋りの価値を具現化する場にすること。そしてゆくゆくは日本テレビの朝の看板番組にしていきたい。それは僕だけではなく、山ちゃんやスタッフの思いも同じ。これまでやってきた仕事の一つの集大成として、しっかり取り組んでいこうと思っています」

<取材・文/小野寺悦子> 

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