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天災は、忘れたころにやってくるという。だが、今の日本は、前の災害の爪痕が消え去らないうちに、また次の災害が押し寄せてくるような状況だ。かつてはありえなかったような災害が発生するような現代で、どのような対策を講じればいいのか。50年間、防災に取り組み続けてきた山村武彦氏に、防災対策のあり方について聞いた。

異常気象が頻発する現代に
もはや安全な場所はない

「自分と家族の命を守る意識、知識、訓練を徹底してください」

今から50年前の1964年6月、新潟でマグニチュード7.5の大きな地震があり、私は、東京から新潟へ足を運んでボランティアをしました。そして、倒壊した建物や液状化現象などを目の当たりにして、防災の仕事をすることに決めたのです。

この新潟地震の後、政府は地震保険の法整備をし、建築基準法を改正し、耐震基準を見直すなどしました。地震予知の研究が始まったのもこの頃です。つまり、日本の地震防災のスタート地点が、50年前の新潟にあったわけです。

今年で日本の地震防災が始まってちょうど半世紀を迎えましたが、この間を振り返ってみると、防災対策はまだ道半ばだという思いを強く持ちます。

阪神・淡路大震災、東日本大震災の後、大手企業の間ではBCP(事業継続計画)の策定が進みました。しかし、中小企業となるとこの割合は20~30%というのが実情です。しかも中身は、いざという時には役に立ちそうもないものが目立ちます。

私たちは、過去にはなかった災害が起こりうる時代を迎えています。東日本大震災は人類が初めて経験する広域複合大災害でしたし、かつて日本ではありえなかったゲリラ豪雨や竜巻も頻発しています。急に大きな雹が降ったり高速道路が冠水したりと、もはや絶対安全な場所などないと認識すべきでしょう。

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