北朝鮮崩壊へアメリカが隠し持つ「極秘計画」 約20年間に作られていた「COPLAN 5029」
「これらの計画はアメリカ軍が想像できるあらゆる不測の事態をカバーしなければならないという永続的な信念によって掲げ続けられており、その一部は、こうしたことは実際にできないとしても、極端な状況下で迅速に実行できるということを世界の指導者に示す目的がある」と、東アジアの安全保障問題に詳しいブルッキングス研究所の上級研究員ジョナサン・ポラックは話す。
「韓国軍がアメリカの戦略に完全に協力していないときでも、アメリカの戦略に完全に協力していた、と自らを納得させることを意図していたのだろう」
トランプ就任後も計画は維持
OPLAN 5029は、少なくとも紙面上では、盧の元参謀長である文大統領の下で革新派が政権に復帰した後も、また、トランプが登場して対外的に「アメリカ第一主義」を掲げた後も、そのままの状態を保っている。トランプ政権の元国家安全保障顧問のH.R.マクマスター中将は、OPLAN 5029について具体的にはコメントしないものの、「われわれはすべての潜在的な不測の事態を予測し、準備しようとした」と話す。
トランプは北朝鮮に対する「怒りと炎」が頂点に達していた2017年、北朝鮮への局部攻撃を実施するためのオプションを準備するように国防総省に働きかけた。しかし、2019年末までインド太平洋安全保障問題担当の国防次官補を務めたランダル・シュライバーによると、国防総省では北朝鮮崩壊を想定したOPLAN 5029の見直しや議論は行われなかったという。
「一般的に、軍事計画、特にOPLAN 5029は、アメリカの大統領が何をしたいのかということも含めて、根本的に多くの仮定に依存している 」と、韓国での経験が長い元国務省高官のデビッド・ストラウブは話す。「トランプが大統領を務める限り、OPLAN 5029やこうした計画は基本的には無意味だと思う。トランプが何をするかは誰にもわからない」。
一方、北朝鮮との関係改善に力を入れる文政権下では、「OPLAN 5029は死んでいる」と、前述の千は話す。「政権崩壊の可能性について話すことは政治的タブーになっている。北朝鮮で不安定な状況が発生した場合、文政権は金政権を救い、安定させ、支援するために全力を尽くすだろう」。
米韓関係は、両国間の防衛費分担に関する協議の行き詰まりによっても損なわれている。トランプは双方の関係者が作成した妥協案を阻止し、アメリカ軍が韓国に圧力をかけるために撤退するかもしれないと、漠然と脅している。文も4月中旬の議会選挙で地滑り的な勝利を収めたこともあり、妥協する意欲は停滞している。
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