マイクロソフトERP(Enterprise Resource Planning)製品群「Microsoft Dynamics」。その活用を探る「攻めの経営を支える情報活用の最前線 Microsoft Dynamicsフォーラム2013」が10月、東京・新宿区で開催された。

3回目となる今回は、参加者が昨年比で1.5倍に達し、アベノミクス、東京五輪開催決定で、好循環期を迎えていることを背景に、グローバルでの標準的システムとなっている「Dynamics」に対する企業の関心の高さをうかがわせた。
グローバルスタンダードとしての「Dynamics」
執行役Dynamics ビジネス本部長
日隈 寛和 氏
代表執行役 社長
樋口 泰行 氏
マイクロソフトでは、グローバルスタンダードとしての「Dynamics」を重点的な注力分野としている。顧客の中には、M&Aした海外企業が「Dynamics」を利用しているため、国内でも導入したという企業もあり、世界標準は徐々に日本にも浸透してきている。基調講演に立った日本マイクロソフト社長の樋口泰行氏は「グローバルに全体最適を目指すITガバナンスの動きが強まっている」と述べ、海外で普及している「Dynamics」を採用する意義を強調した。
もう一つの強みは、国内で圧倒的に広く使われている「Microsoft Office」、「Skype」、情報管理統合プラットフォーム「SharePoint」など、他のマイクロソフトの製品群との親和性が抜群で、連携しやすい、ということだ。樋口氏は「マイクロソフトの情報基盤と合わせて、ERPを機動的に運用できるので、導入後のお客様満足度は非常に高い」と自信をのぞかせる。
「Dynamics」は昨年度、世界で12%の伸び、日本でも6年連続の二桁成長を記録。トータルで世界35万社、500万ユーザーに採用されている。そうした実績は品質面での安定につながり、樋口氏は「品質の問題が私の所まできたことはない」と語り「Dynamicsは自信を持ってお薦めできる」と導入検討を呼びかけた。
グローバル標準のシステムに最適
後半のセッションは導入企業が事例を報告。ERPトラックでは、グローバルに展開する企業から、管理の複雑さや膨らむコスト、煩雑な操作性など、ERPに関する課題解決に取り組んだプロジェクトが紹介された。
IT改革推進部 海外プロジェクトグループリーダー
西村 誠司 氏
まずJFEスチールIT改革推進部海外プロジェクトリーダーの西村誠司氏が海外グループ会社向け標準システムに「Dynamics AX」を採用した経緯を説明した。JFEスチールの海外戦略、グループ各社の位置付けや規模、さらに海外におけるサポートを考慮したうえで、本社で使用している既存システムを拡張するのではなく、ERPパッケージで標準システムを構築することとした。ERPパッケージとしては、他システムとの連携などのカスタマイズの柔軟性、コストメリットから「Dynamics AX」を選定した。また、導入パートナーであるJFEシステムズ製品の原価管理システム「J-CCOREs」と同社が扱う「Dynamics AX」認定製品の計画系ソリューション「Demand Solutions DSX」を活用することで、パッケージではカバーしきれない細かな要求の実現にも成功したと語った。JFEシステムズでは、この導入で得た知見を元にテンプレートを開発しており、素材製造業を中心に展開していく予定だ。
執行役員
宮本 和幸 氏
大日本印刷グループのICT専門会社であるDNP情報システムの執行役員 宮本和幸氏(導入パートナー、NTTコミュニケーションズ)は、加速するグローバルビジネス展開に追随可能なICT環境の実現を目指し、従来、各国個別に行っていたシステム構築から脱却、クラウドサービスによる海外拠点共通ICT基盤を構築した経験を報告した。基幹業務システムに採用した「Dynamics AX」について「複数の会社の共同利用が可能で、あらゆる国・地域に対応できる機能を備えているという要件に最も適応した製品」と評価。また、「グローバルで標準化した業務フローを構築、テンプレート化することで、各国への展開速度の飛躍的向上、コンプライアンスレベルの平準化を実現することができた」と話した。さらに、あらゆる国・地域に柔軟に対応するため、「Dynamics AX」を全世界10カ国/地域 12拠点に展開(2014年時点)するNTTコミュニケーションズのクラウドサービス「BizホスティングEnterprise Cloud」上に構築。ICT資産を持たずにセキュアかつシームレスに利用ができ、スモールスタートが可能な基盤を整備。「グローバルで機動的な事業展開ができる」と訴えた。
企画・管理部 部長
小川 秀雄 氏
東レKPフィルム企画管理部長の小川秀雄氏は、2010年に東レ子会社となったのに伴い、中小中堅企業向けERPの「Dynamics NAV」を導入。開発コストという点から、手組のシステムでなく、パッケージを中心に検討。「東レグループ内での利用実績や、マイクロソフト製品への信頼、選定パートナーの導入実績(国内外200サイト)、運用コスト、含む全体価格がリーズナブルで、カスタマイズなど拡張性に優れていることが魅力だった」と選定理由を述べた。「Dynamics NAV」と相性のいいExcelアドオンBIツールの「JetReports」を活用し、使い慣れたExcelとの連携も構築。
基幹システム事業部SI2課 課長
笠間 弘人 氏
東レシステムセンター基幹システム事業部SI2課長の笠間弘人氏は「データのエクセルへの抽出が簡単で、画面やメニューもマイクロソフトのERP製品であるため、親しみやすく、操作も直感的で分かり易い」と評価した。導入パートナーのパシフィックビジネスコンサルティング・ビジネスソリューション事業部プロジェクトマネージャーの吉島良平氏は、同社の「Dynamics NAV」の豊富な国内外での実績をアピール。同社は、2001年よりNAVをベースにアドオンを加え、きめ細やかな製造原価計算を可能とした製造業向けテンプレートを展開している。東レKPフィルムにも提供した同製品を、「国内外の日系製造業に必要な機能がトータルで提供できるパッケージ」と自信を見せた。
いま、ビジネスの多様化と変化に俊敏に応えるERPが求められている。そのニーズを満たす業務システムとして「Dynamics ERP」への注目がますます高まっている。
【グローバル導入実績】
Microsoft Dynamics AX 19,000社
Microsoft Dynamics NAV 98,000社