
主催:Genpact Japan
協力:東洋経済新報社
開会挨拶
Genpact Japan
代表取締役社長
GEのシェアードサービス部門から2005年にスピンオフしたジェンパクトの杉浦英夫社長は、同社がBPOされた業務の効率化について、低コスト国への移管や継続的な改善を図る従来モデルに、デジタルテクノロジー活用も加わっていることを説明。さらに、顧客企業のRPAやAI導入支援にも幅を広げて「インテリジェントオペレーションへの変革を推進する」と語った。
基調講演
日本企業が目指すべきデジタルイノベーション
早稲田大学ビジネススクール
教授
早稲田ビジネススクールの平野正雄氏は、米中のデジタルイノベーションの動きを概観して、日本企業の進むべき方向性を示唆した。米国はデジタル時代のイノベーション大国であり、言うまでもなくシリコンバレーはその聖地である。そこではベンチャーキャピタルを中心として、無数の起業家とスタートアップ、大企業などが結び付いて、さまざまな試行錯誤が繰り返される洗練されたエコシステムが形成されていると説明。
一方、今やGDPが日本の2倍以上の規模となり、存在感を増す中国は、ITではもはや先進国家と認識すべきであると言う。そこでは荒削りだが大胆なアイデアに基づく無数の事業化への試みが、ITだけでなく交通、エネルギー、金融など広範な分野で実施されており、米国の洗練に対比してカオス的なエコシステムが発展しているとした。政府もイノベーション大国を目指して政策的に起業家の活動を支援している。
それに対して今でも大企業中心の静的エコシステムになっている日本では大胆な改革が進みにくく、イノベーション力において米中の後塵を拝していることを指摘する。とはいえ、もはや米中両大国に挟まれたニッチ国家であるとの現実を直視して、日本独自の発展を目指すべきであると重要な提言をした。具体的には、素材や部品などのB2B領域やアジアで急増している中間層向けの消費財産業には高い成長力が期待できるとした。
インバウンド観光業を含めてグローバル、特にアジアの成長を自国に取り込むような産業政策や企業の経営努力が重要であることを強調した。「大国意識を捨てて、日本人や日本企業に固有な強みを生かす方向への変革をやりきることで、魅力的な『ニッチ国家』として日本は継続して発展できるはず」と語った。
主催者講演
インテリジェントオペレーションからAIへ、
先進事例が示す破壊的インパクト
Genpact Ltd.
シニア・バイスプレジデント
チーフ・デジタル・オフィサー(CDO)
ジェンパクトのスリバスタバCDOは「デジタルの創造的破壊の動きはAIにより加速する」と述べ、デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む必要を訴えた。今、企業が積極的に導入を進めるRPAは、AI活用に向けた発展の第1段階で、ここでデジタル化されたデータを得て、分析からインサイトを生む第2段階のインテリジェント・オートメーションに移行。さらに第3段階として、データから学び、解決法を生み出すAIを使った自動化へ移行すると予測した。
同社のモジュール型AIプラットフォーム「Genpact Cora」は、この発展段階に応じてAPIによりテクノロジーを自在に追加できる仕組みで、デジタルコア(クラウド、モバイル、ダイナミックワークフロー、RPA)、データ分析(IoT、データエンジニアリング、機械学習、ビジュアル化)、AI(対話、文章理解、画像認識、データサイエンス)の3つの主要分野で最先端テクノロジーをカバー。さらに、把握しにくいデジタルの働きを管理するコマンド&コントロールセンターも搭載。
「ビジネスの理解に基づいてオペレーションモデルをデザインし、データに不適切なバイアスを生じさせないガバナンス、ボードレベルのトップダウンによるチェンジマネジメントがあれば、DXのジャーニーはスムーズに進むはず」と述べた。
パネルディスカッション
組織全体でデジタルトランスフォーメーションを
加速させるには、何から始め、何を見極めるべきか?
LIXILグループ相談役
元 LIXILグループ
取締役代表執行役社長
兼CEO
LIXILの藤森義明氏は、第4次産業革命で既存ビジネスは完全に壊される危機にあるとして「ビジネスモデル、働き方をどう変えるかが課題」と述べた。世界的に低迷する日本の生産性向上のためには、ロボット導入による省人化、過剰サービスや規制の見直しの必要を示唆。デジタルトランスフォーメーションは「会社レベルではトップダウンが必要だが、各部門の機能軸での変革なら大きな投資も伴わず、やりやすいはず」と指摘。
また、日本のデジタル・エンジニア数が米、中、印に比べて圧倒的に少ないことに触れ、大学教育による育成、給与体系の見直しや多様性のある企業文化による海外人材獲得の必要性に触れた。「変革実現は会社のすべての人が何をすべきかを考えなければならない。今、動かなければ、会社や職が失われるという危機意識が大事」と訴えた。
日立製作所 理事
研究開発グループ技師長
AIを研究する日立製作所の矢野和男氏は「変化や多様性、リスクなどルール化できないことがたくさんある」として、ルールをすべて規定する従来のソフトウエアでは、今の時代に対応する難しさを指摘。
ブランコに乗ったロボットに接続した同社の人工知能「Hitachi AI Technology/H」が、振れ幅を大きくすることを指示すれば、試行錯誤して人より上手にこげるようになる過程のビデオを見せて「アウトカムを決め、コンピュータ上で限られたデータから学び尽くすアウトカム志向が重要」と語った。
また、人の究極のアウトカムである幸せを追求する取り組みにも言及。今の日本はルールを守ることに多くのエネルギーを費やしているとして発想の転換を求めた。従来は何十万行もあったプログラムが、ブランコのAIでは2千行で済むとして、あらゆる人がAIにかかわる可能性を示した。
スリバスタバCDOは、起業家のアイデアで、図面読み取り、見積もり作成を自動化して成功した電気配線工事会社の例に触れ、スタートアップと協力し、革新的考え方を取り込む重要性を強調。デジタルトランスフォーメーションを小さなプロジェクトの集合ととらえ「小規模なものをアジャイルに進めることが大きなジャーニーにつながる」と述べた。
