
主催:徳島県、公益財団法人とくしま産業振興機構
協力:東洋経済新報社
後援:一般財団法人日本立地センター、日本政策投資銀行四国支店、四国経済産業局
開会あいさつ
徳島県の朝日隆之・商工労働観光部長は、LEDバレイ構想と高速光ブロードバンドを売りに、LED関連企業140社、IT企業を含めたサテライトオフィス56社が立地していると説明。今年7月に開設された消費者庁のオフィスにも触れて「新しい事業展開の際は、ぜひ徳島をフィールドにすることをお考えいただければ」とあいさつした。
LED関連企業による講演
LED応用ビジネス13年の軌跡
シナジーテックなど3社を経営する大栗克俊氏は、LED照明を活用した3つの事業を紹介した。大栗氏は1988年に東京から徳島に帰り、ソフトウエア会社を立ち上げて独立。2004年のまちづくりイベントで、LEDイルミネーションを制作したのを機に「今までにないものを作る新産業を」とLED事業にシフトした。翌年からは、当時まだ珍しかったLEDのイルミネーションを東京ドームシティなどの依頼で制作。09年には、LED照明による植物栽培に着手。さまざまな作物で実験して栽培可能なことを実証してきた。15年には、地元の日亜化学工業が開発した植物栽培に適した光の波長のLEDと汎用品ラックなどを組み合わせ、コストを抑えた植物プラントを開発。無農薬でも虫がつかない強みを生かしてエディブルフラワー(食べる花)の栽培も手がけている。また、第3の柱として、名所の撮影の際に通常では不可能な角度からライトアップできるドローンライトを開発。幻想的な雰囲気を演出した祖谷のかずら橋などの写真を示して「夜間捜索など災害支援やトンネルなどのインフラ点検への活用も期待しています」と意気込んだ。
サテライトオフィスに関する講演
地方発信型の価値創造を目指して
東京のIT会社、セカンドファクトリーの大関興治氏は、子会社のブエナピンタが運営する「食のシェアリングエコノミー」をテーマにした施設「ザ・ナルト・ベース」の取り組みを紹介した。大関氏は、都市部に投資・情報が集中し、地方は単なる供給者となってしまう産地直送モデルに代わって、都市部と地方をネットワークでつなぎ、地方に投資するビジネスモデルを構想。交通アクセスに優れ、ITインフラも整った鳴門市にザ・ナルト・ベースを開設した。農家の規格外品も売り物にできるシェアードの農業6次化施設は、生産者の顔が見える安心安全な食材を調達したい都市部レストランにとっては、現地加工で仕込みの手間も減らせるシェアード・キッチンになる。ほかに、地産地消レストラン、サテライトオフィス推進に向けたコワーキングスペース等も併設。ITプラットフォームでは、生産者からの収穫情報を見て、レストランが注文できる仕組みを構築。将来は蓄積したデータからAIで需給予測をすることも視野に入れ、IT面を支えるサテライトオフィスも同市に開設した。「リゾートで働いている感じの徳島で仕事をするのも面白いと思う」と語った。
ICT関連企業による講演
人工知能型ERP「HUE」の開発を支える技術研究
ERPベンダーであるワークスアプリケーションズの牧野正幸氏は、人工知能(AI)の一分野であり、日本語でAIを扱うために不可欠な自然言語解析(NLP)の研究拠点を徳島市に開設した経緯を語った。バックオフィス業務の生産性向上に向けて人工知能型ビジネスアプリケーション「HUE」を提供する同社は、各地から優秀な人材が集まる東京、シンガポール、上海を開発拠点としてAIを研究してきたが、それでも世界的にAI人材の争奪が起こる中、さらなる研究開発の推進のために人材を増やしていく必要があった。たまたま牧野氏が出会った優秀な技術者が徳島県での勤務を希望したことをきっかけに、徳島大学を中心に自然言語処理技術に長けた人材が多く集まっていること、そしてインフラなどのオフィス環境が整っていることなど、徳島の立地としての優位性が浮上し、研究所の設置へ至った。「日本語という特殊な分野におけるAI・NLP研究者が払底する状況」にもかかわらず、半年間で15人もの研究者を集めて、同社の中心的AI・NLP研究拠点となった。人材採用などにおける県の支援を受け、今後5年で50人規模に拡大する計画。恵まれたインフラ環境や住環境など、シリコンバレーをほうふつとさせると指摘した牧野氏は「徳島のほかのIT企業ともコラボレーションし、日本で最先端のAI・NLP研究エリアになることを期待しています」と語った。
トップセールス
徳島県の立地環境について
飯泉嘉門知事は、光の国・徳島の魅力を訴えた。徳島小松島港津田地区に新造成の工業団地が2020年度完成予定の四国横断自動車道津田ICと直結。JAL・ANAダブルトラックで東京便11往復など充実した交通網を説明。今年、国内初開催された「ラフティング世界選手権」や「とくしまマラソン」、第一次大戦時に徳島に収容されたドイツ兵捕虜によるアジア初演から来年100周年の「第九演奏会」、アニメやゲームのイベント「マチアソビ」など、スポーツ・文化活動も活発だ。経済面では、県庁が率先してテレワークの実証等による先進的な働き方改革を実践する。高いCATV世帯普及率を背景にした全国屈指の高速光ブロードバンド環境を生かした4Kでの映像試験放送や映画祭、AIを活用した阿波おどりFAQサービスの実証実験など、先端テクノロジー事業も展開。徳島が誇るLEDと阿波藍を「二つの青」として世界最大規模の産業見本市(ハノーバーメッセ)でPRしてきた。県は、企業立地、本社機能移転への補助金、創業支援も手厚く提供。移住体験、親の短期滞在に合わせ住民票を移さずに転校できるデュアルスクール制度(全国知事会先進政策大賞)、子ども医療費自己負担分助成など充実した施策でUIJターンを促進する。「首都圏の企業の皆様と共に、従業員の働きたいという意欲と自己実現を両立できる徳島を築きたい」と語った。