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オリックス、全国へ地熱発電推進の勝算とは 事業領域を拡げてきたからこその強みがある

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  • オリックスグループ 制作:東洋経済企画広告制作チーム
2017年3月、オリックスは、東京都八丈町との間で地熱発電利用事業に関する協定を締結した

女優・川栄李奈さんのCMを見て、オリックスが再生可能エネルギー事業に注力していることを初めて知ったという人も多いだろう。2017年4月にはFIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)も改定され、太陽光発電だけではなく、風力や地熱、バイオマスなど、再生可能エネルギーによる発電が普及する日本。そのような中で、東京都の八丈島で地熱発電を行う事業者として選定されたほか、米国やアフリカなどで事業を展開する地熱発電会社にも出資するなど、積極的な展開を続けるオリックス。リースをはじめとした金融サービスの提供で知られる同社が地熱発電を手がける理由を、担当者からたっぷりと伺った。

オリックスが手がける再生可能エネルギー事業とは

「オリックスは、1995年の風力発電事業への出資を皮切りに再生可能エネルギー事業に進出し、2011年には吾妻木質バイオマス発電所の運営を開始しました。FITが議論され始めた2012年から発電事業に本腰を入れると、まずは太陽光、そして風力や地熱といった多様な電源の開発を進めてきました。それぞれの電源によって特性が異なるので、短期間で事業化できる太陽光と、長期間にわたる開発が必要な地熱や風力をうまく組み合わせて事業を拡大しているところです」と、力強く語るのは、オリックス環境エネルギー本部の田巻秀和氏だ。

「八丈島における地熱発電事業では、公募で8社の中からオリックスが選定されました。八丈町の今後の展望を見越して可能な限り規模の大きな事業計画をご提案したことや、地熱発電の事業経験が豊富であることが評価されたのだと思います」

八丈島における地熱発電の難しさ

活火山も多く、世界一の温泉大国と言われる日本だけに、地熱発電のポテンシャルは高いというのが一般的な認識だが、そこにはハードルもあるという。

オリックス株式会社
環境エネルギー本部
事業開発部 第4チーム
課長代理
田巻 秀和

「日本である程度の規模以上の地熱発電ができる地域は限られていて、主に北海道、東北、九州と島嶼(とうしょ)地域では八丈島が挙げられます。事業開始当初から、ポテンシャルがある地域の動向はつねにウォッチしていて、八丈島の地熱資源のポテンシャルも認識していたので、公募には当然手をあげました。八丈島での地熱発電において難しいのは、送電網が完全に独立しているところと、開発・運営に関わる資材の多くを島外から輸送しなければならないところです。現在は、東京電力がディーゼル発電所と地熱発電所を運営しながら電力を供給していますが、地熱発電所の運営事業者が交代するにあたり、電力の安定供給に支障が出ることは許されませんので、慎重に進めていくことが重要です。さまざまな課題がありますが、一つ一つ解決していきたいと思います。現在は地表の調査を行っており、その後は、発電所の建設に向けた準備を進めていきます。八丈島に限らず、島嶼地域はディーゼル発電所によって電力が賄われている地域がほとんどで、再生可能エネルギーの地産地消が強く求められています。地熱資源が豊富な八丈島は、その先進モデルとなるべき地域だと考えています。そのため、地域住民の方々への説明会や、代表者の方々との連絡会を何度も開催して、お互いの理解を深めているところです」

人々の生活の根幹を支えるインフラであるがゆえに、当然ながら長期的な視野が求められる。田巻氏は続ける。

「ただ発電所を運営することだけではなく、地熱発電事業をきっかけに、地域を活性化することが求められていると感じています。またオリックスとしても、地域が繁栄していなければ、発電事業を長期的に運営していくことができません。運命共同体とも言える地域の方々と信頼関係を築いていくためにも、焦らずじっくりと構えて事業を進めていく必要があると思っています」

別府 杉乃井ホテルがもたらしたチャンス

杉乃井地熱発電所

オリックスが手がける地熱発電所は、八丈島だけではない。現在進行しているプロジェクトの進捗状況や課題について伺った。
「北海道函館市の案件が最も進行しています。現在、三本目の井戸を掘削しているところで、その結果によってこれから地上に発電所を建設する段階に進む予定です。これまでに掘削した二本の井戸では、期待以上の結果が出ており、十分な発電容量を確保できると見込んでいます。これまでいい結果が出ているので、三本目の井戸の掘削にも期待しています。他には東北地方で進めている案件がいくつかあります。地表調査は完了していますが、現地の電力系統が逼迫しているという状況もあって、掘削のタイミングを慎重に図っているところです。地熱発電のための井戸は、その上に数十億円もの設備を建設する必要があります。発電所の設置・運営に耐えうる頑丈な井戸を、地下1,500〜2,000メートルの深さまで掘削するので、井戸1本あたり数億円の投資が必要です。地熱発電所は、事業化までのリスクを精査しながら、着実に進めていかなければならない事業なのです」

北海道函館市南茅部における掘削現場

このように多面的な検討が必要となる地熱発電事業へ参入するにあたり、重要な役割を果たしたのが、グループで運営する「別府 杉乃井ホテル」の地熱発電所だ。

「そのほかの再生可能エネルギーと違って、事業化にあたっての資源開発が必要とされる地熱発電は、参入障壁が高いと言われています。オリックスが地熱発電への参入を検討し始めた当時、ノウハウをもつ専門家が日本国内には少なく、地熱発電に関する情報もあまり出回っていませんでした。一方で、ホテルや旅館の運営に取り組む中で2002年に取得した『別府 杉乃井ホテル』は、1981年から自家用としては国内最大規模の杉乃井地熱発電所を運営していました。参入障壁が高いニッチな分野であるからこそ、杉乃井地熱発電所のノウハウを生かすことで、オリックスが優位に開発を進めていけると考えたのです。実際に、地熱発電の事業化を検討するにあたり、杉乃井ホテルに2週間ほど泊まり込んで施設を研究しました。このように、多角的な事業を展開する中で得たノウハウを新規事業の立ち上げに生かすことができるのは、オリックスの強みだと考えています」

海外へも積極的に展開

2017年には、地熱発電における世界的企業であるOrmat Technologies(以下、オーマット)に700億円あまりの出資をしたことが話題になった。「オーマットは資源開発から発電設備の製造、販売、組み立て、そして発電所の運営まで、地熱発電事業の全領域をカバーしている世界で唯一の会社です。技術レベルも高く評価されていて、日本でもすでにいくつかの発電所がオーマットの設備を導入しています。オーマットとオリックスが連携することで、そうした設備のメンテナンスなどをよりスムーズに進められると思っています。逆に海外では、オーマットの幅広いネットワークを活用しながら事業を拡大していこうと考えています」

オーマットが保有・運営するMcGinness Hills Complex発電所(米・ネバダ州)

新規分野への参入は必然

そもそも、なぜオリックスは再生可能エネルギー分野へ進出したのかという素朴な疑問が生まれる。

「実はオリックスは、廃棄物処理のビジネスから、環境エネルギー分野へ参入しました。オリックスの祖業はリースであり、リース終了後に返却された物件を適正に処理することに取り組んできました。そうして蓄積してきたノウハウを生かして、リースや融資などで取引があるお客さまの廃棄物処理に対応するサービスの提供を開始したのです。その後も、世の中のニーズの変化に合わせて、省エネルギーサービスや、電力小売事業など、既存事業で蓄積したノウハウを生かして隣接する分野へと事業領域を拡大していきました。そして、FITの制定を受けて、再生可能エネルギー事業に参入したのです。このように、事業環境の変化に合わせて新たな分野へと参入してきましたが、オリックスという会社の成り立ちを考えると必然の道を辿ってきているのです」

地熱発電事業に立ち上げ時から携わってきた田巻氏は、実は、この事業の「言い出しっぺ」なのだと告白してくれた。

「FITが制定された当時、私は経営企画部に所属していました。再生可能エネルギー事業を今後どのように進めていくべきかを検討する中で、『地熱発電をやったら面白いんじゃないですか』という提案をしたところ、事業開発部に異動して、自ら地熱発電事業を進めることになりました。このようにオリックスには、一般の社員でも、新規事業を自ら発案し、推進していける環境があります。一方で、ファイナンスを起点として事業を拡大してきた会社であるがゆえに、リスク要因を慎重に見極める文化もあり、痛手を負う前に撤退の判断を下す場合もあります。成功した事業が注目されますが、裏には擦り傷や切り傷を抱えていることも多いのです。このようにトライアンドエラーを繰り返すことで、強い事業が生まれていくのだと思います」

より一層身近になったオリックスの事業・サービス

再生可能エネルギー事業を手がける必然性が理解できたところで、田巻氏が社員として、オリックスについて世の中に伝えたいことを伺った。

「最近は、コンセッション事業として空港の運営に携わっていたり、水族館やホテル・旅館を運営していたり、生活に身近なところで知らないうちにオリックスと接点を持っていただく機会が増えてきているように感じます。実際に、家族など身近な人が、私自身も気がつかないうちに、オリックスが提供する商品・サービスのファンになってくれていたことがありました。当社の商品・サービスだと気づいていただいたときに、『さすがオリックス』と言っていただけるように、営業担当者として日々の業務に取り組んでいきたいと思います」