危ない会社をどうやって見分けるか。やっとの思いでつかんだ内定先が、ブラックやグレーでないかを見分けることができる指標が「3年後離職率」です。回答企業が公表に最も神経を尖らせる箇所でもあります。
新卒者が3年間で辞める割合がわかる
「3年後離職率」は、2005年秋発売の2007年版から、多くの先輩たちの強い要望によって、調査・掲載を始めたものです。それ以後、就職四季報には平均年収などと並んで、最も目立つ位置に掲載しています。

最新版2019年版であれば、2014年の新卒入社者が直近の対象です。そのうち、3年後の2017年4月1日までに離職した人数の割合を算出し、矢印の右に大きく表示しています。
矢印の上の小さな数字はその前年の3年後離職率です。たとえば、新卒入社者が1人の場合、その1人が残るかやめるかで、3年後離職率は0%と100%の間を大きく振れることになります。3年後離職率100%という数字だけを見てブラック判定するのは禁物です。2年分を見ることで、数値が極端なブレなのか傾向値なのかがわかります。
入社から3年後も在籍している人の割合が、「3年後新卒定着率」です。定着率と離職率は裏返しの概念で、100%から3年後離職率を引けば出てきます。
3年後新卒定着率(%) = 直近4月在籍者/3年前入社者×100
= 100% - 3年後離職率
「入社3年で3割」が目安
回答企業には率そのものではなく、入社者と在籍者の人数を答えてもらい、編集部で算出しています。根拠なく「10%ぐらい」といった率がひとり歩きするのを防ぐためです。まずは、ほかの指標と同じく、全社にわたってチェックしてみましょう。水準を頭にたたき込むためです。
3年後離職率0%、すなわち定着率100%という会社は結構あります。2019年版では121社。大量採用にもかかわらず、3年後離職率が0%というすごい会社もある一方で、就活生にもあまりなじみのない会社も含まれているのではないでしょうか。
逆に、3年後離職率はどのくらいだと“ヤバイ”のでしょうか。就職してから3年後の離職率が中卒7割、高卒5割、大卒3割に達するという政府の調査結果から名づけられた「シチゴサン現象」もあり、大卒以上の新入社員の3年後離職率は30%が大きな目安となります。各社の人事部門でもかなり意識される数字です。
だから、NA(No Answer)の場合は、これより高い可能性が大いにあります。高い数字を出すよりは秘密にしておいたほうが印象がよいからです。最新の『就職四季報』によれば、2013年入社者の平均が11.0%、2014年入社者が12.0%と「3年で3割」よりもかなり低い傾向にあります。
これには、掲載会社が比較的労働環境のよい大手有力会社が多いということもありますが、離職率が高い会社がNAにすることも効いていると考えられます。
最新版でNAとなっている会社の割合は、2014年入社で20.4%となっています。裏を返せば8割の企業が新卒3年後の離職状況を開示しているということです。就職四季報はNAばかりと言われますが、企業側も出したほうがメリットになる数字は開示するといえるでしょう。
採用数と従業員数で不審な会社が読み取れる!
とはいえ、さして離職率が高いとは思えない会社でもNAになっていることはありますし、就職四季報に全社が載っているわけでもありません。見たい会社の離職率がわからないという場合には、採用数と従業員数を見てみましょう。離職率がNAでもこの2項目の開示率は9割を超えます。就職四季報に載っていない会社でも、『会社四季報』や『会社四季報 未上場会社版』なら載っていることがありますし、この2項目なら採用ページなどで公開している会社も多いです。
たとえば、会社の採用数が従業員数の1割から2割ならかなり多いほうです。とはいえ、従業員数を上回る新卒採用をする会社もありますから、まだましなほうかもしれません。事業がどんどん拡大している場合にも採用数が増えることはありますが、大量離職を見越した大量採用の場合も考えられますので、従業員数に対して採用数が多すぎないか、必ず確認してください。
水準は業種で大きく異なる
さて、下の表は、2014年入社者が10名以上の会社を対象に、業種分類別に離職率を集計したものです。業務分類とは、ここでは業種の大きな括りと考えてください。「離職率3割」の目安は、業種によってかなりの差があることがわかります。一般的に高いとされている業種は、外食、車のディーリング、ドラッグストア、学習塾、家電量販店、ソフトウェア開発など。離職率が高い会社は、概して若手でも店長やリーダーとして重責を担い、成果報酬型の賃金体系を採る会社が多いことが特色です。

ベンチャーと老舗では、どうしてもベンチャーは高くなります。立ち上げ直後はなりふり構わず働かなければ、会社は簡単には発展しません。若手でも重責を担うのは上に挙げた業種と同じです。成果を出し切れず辞める人もいるなかで、成果を出して、早期のステップアップとして離職に踏み切る人もいます。
奥の深い3年後離職率ですが、皆さんも自分自身で、その会社の数字が「なぜそうなるのか」と探求してみてください。その会社が業界内で群を抜いて高いのならば、会社自身に何か原因があるはずです。業界全体で高めならば、業界に共通する要因があるわけです。
広報解禁を前に、「どうやって企業研究をすればよいのかわからない」という声にお答えすると、とにかく自分で疑問をもって、その疑問を自分で解決していくことです。『就職四季報』や『業界地図』の各種のデータなど、材料は豊富にあります。今のうちに使い方を学んでおきましょう。