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物流要員不足時代の物流オペレーション革新 ~荷主と顧客をつなぐ物流の最適解~

  • 制作:東洋経済企画広告制作チーム
事故や災害のリスクに加え、荷物の急増に対する要員不足が課題となっている物流のオペレーションについて考える「物流要員不足時代の物流オペレーション革新」が5月16日に大阪市で開かれた。会場は超満員となり、企業の関心の高さをうかがわせていた。
共催:野村総合研究所、東洋経済新報社 協賛:野村不動産

開会の挨拶

野村不動産
常務執行役員 関西支社長
松尾大作

6月末に大阪府高槻市に13棟目が完成する、先進高機能の物流施設「ランドポート」シリーズをはじめ、全国に計27の物流施設を展開する野村不動産の松尾大作氏は、セミナーが「業界共通課題のキーワード、省人・省力化に向けた一助になれば」とあいさつした。

論点整理

野村総合研究所
産業ITイノベーション事業本部
主席研究員
藤野直明

野村総合研究所の藤野直明氏は、インダストリー4.0とは、工場内からサプライチェーンまでの物流オペレーションをリアルタイムで可視化し、最適化することと定義。そのための投資が、欧米、中国、インドなど世界で進められている、と指摘した。日本企業も進める必要がある物流への投資について、国内市場縮小に伴う「原価低減の守りの投資と考えるべきではない」と強調。日本の高度な物流ノウハウを「形式知化して移植可能なものにし、アジアなど海外に展開するという視点を持つべき」と訴えた。

基調講演
「わが国の消費財物流の高度化の課題と新潮流」

東京理科大学大学院 教授
上智大学 名誉教授
荒木勉

東京理科大学大学院の荒木勉氏は、インダストリー4.0の要素として、マスカスタマイゼーション(個別大量生産)、スマート工場、IoTによってリアルタイムにニーズに応える生産の仕組み、サービタイゼーション(製造業のサービス化)を挙げ、「物流もロジスティクス4.0になっていく」と指摘した。POS(販売時点情報管理)のようにリアルタイム管理する「ポイント・オブ・ロジスティクス」は、トレーサビリティ構築や人手不足の観点からも必要で、それを実現する技術や最新動向についても説明。近距離無線通信で情報をやり取りできるRFIDをパレットやカートなどの物流機材に付けたり、二次元バーコードを使って日付管理を行なっている食品などの物流管理の事例に言及。「リコールにはRFID管理が有効だが、それが行われていないところで問題が起きる。1件の重大事故の背景には、ヒヤリ・ハットが300回あるというハインリッヒの法則を念頭に置くべき」と、テクノロジーを使った物流管理の推進を訴えた。また、人手不足に対しては、先頭車両にだけドライバーが乗り、後続のトラックは無人走行で目的地域まで高速道路を「隊列走行」し、その後の配送を現地ドライバーが運転して行うアイデアなどを紹介した。

事例講演I
「省力化マテハンのセグメンテーションと人に優しい設備」

日本アクセス
取締役 専務執行役員
広域営業部門長
中井忍

全国に500超の物流拠点を持つ食品卸、日本アクセスの中井忍氏は、庫内作業を効率化するために同社が導入しているマテハン(マテリアルハンドリング、物流機器)について語った。棚に設置したデジタル表示器の指示に従って仕分け作業するDAS(デジタル・アソート・システム)、自動仕分けするケースソーター、バラ物の仕分けに使う棚DAS、バラ物自動仕分けシステムのPAS(ピース・アソート・システム)、持ち運びできる検品端末のHHT(ハンド・ヘルド・ターミナル)の5種類の設備機器を紹介。DASは、規模を問わず、あらゆる仕分けに対応。ケースソーターは大量出荷センター向けで、柔軟性はないが、作業人員は非常に少なくて済む。HHTは入荷検品のほか、停電などの緊急時にも使える――といった特徴を解説し、これらの機器を組み合わせてムダなく運用することを目指しているとした。また、人材確保が難しくなる中で、冷蔵倉庫内を働きやすい環境にするため、人が作業する所に直接、風が当たらないようにする、外装ダクト、内装ダクト、二重天井方式を採用。人のいない所は、コストの安い直吹きファンにするといった工夫を説明。最新機器として、倉庫の天井に設置するガントリークレーンなどにも言及した。

物流施設のご紹介
「野村不動産の物流施設開発事業への取り組み」

野村不動産
関西支社 都市開発事業部長
近田年史

野村不動産の近田年史氏は、同社が用地取得から設計、建築、テナント誘致、管理運営まで製販管一体で手がけている「Landport(ランドポート)」ブランドの物流施設を紹介した。ランドポートシリーズは、2007年から首都圏を中心に展開。6.5mの高い梁下構造と両面バースを備えた川越、23区内の立地で即日配送を実現する板橋、容積率に余裕を持たせてメザニン(中二階)床を設置できるようにした柏沼南など、テナントのニーズに沿って、それぞれ特色のある物流施設を開発してきた。今年6月末完成のランドポート高槻は、名神高速茨木IC、近畿自動車道摂津北IC、2024年開通予定の新名神高速高槻ICに近い約1万坪の敷地に、倉庫スペース(トラックバース含む)1フロア4000坪の地上5階建てで、トラックが各階に直接乗り入れられるダブルランプウエイを備えている。半径1.5km圏に約8万人の人口を抱え、カフェテリア、商業スペースを備えるなど雇用環境にも優れている。また、免震構造、太陽光発電パネル設置、LED照明採用などBCP、環境面にも配慮した。近田氏は「今後も年3、4棟ペースで新規供給を継続。関西圏での開発も進めたい」と述べた。

事例講演II
「物流オペレーション改革と流通生産性」

PALTAC 特別顧問
メディセオ 特別顧問
山岸十郎

化粧品・日用品・一般医薬品卸のPALTAC、医療用医薬品卸のメディセオで物流を担当してきた山岸十郎氏は、バラ物が多く、複雑な物流を効率化する取り組みについて語った。特に医薬品では際立つ多品種・少量注文と迅速な配送の要請に対し、ピッキングを省人・省力化し、ミスを減らすために、スキャナーやハカリを搭載した独自のピッキングカート開発やピッキング、コンテナやケースの仕分け、積み込みも含め、積極的な自動化の取り組みについて解説。「人手の確保が難しく、投資をして自動化しなければ事業継続も難しくなる」と危機感をにじませた。荷物をトラックに満載することで納品コストを下げるフル・トラック・ロードなどを念頭に物流センターの適正規模を考えることの重要性を強調。また、主要先進7カ国の中でも生産性が最低となっている日本の流通の課題にも言及した。米国のように業者間の公正な取引条件を義務付ける法律がないため、日本では、複雑なインセンティブがコストを押し上げる側面を指摘。米国の流通企業の事例から、効率的な在庫管理は在庫を減らすことではなく、回転日数をそろえて補充をサイクル化することだとして、適切な在庫管理ができる売場設計の必要性を訴えた。