物流施設はもとより、医療・介護施設の領域でも存在感を高めている。
相談される多種多様な課題を解決するために、選択肢を増やし続けている。
デベロッパーから建築出口戦略までの一人三役
2016年7月21日、千葉県流山市で大和ハウス工業が開発する物流施設「DPL流山Ⅰ」が着工した。テナント企業の従業員用に託児所やコンビニエンスストアを備える一方、免震システムを導入した物流施設着工のニュースは注目を集めた。
理由の一つは、全3棟で総延床面積約38万7000平方メートルという物流施設として国内最大級になる規模だ。
が、それだけではない。「外環道周辺のこのエリアでは物流施設を求めるニーズが旺盛な一方、大規模な用地はないという現状でした。ですが、第1種農地だった土地の利用目的を変えることによって、国内最大級の物流施設に転換することが可能になったのです。これまでにも、製造業の生産拠点を物流施設にすることによって新たな雇用創出に寄与するなど、社会や企業の変化に伴う課題の解決に貢献してきました」と語るのは浦川竜哉常務執行役員だ。
解決に貢献してきました」
常務執行役員
浦川 竜哉
これまで大和ハウス工業の事業施設事業は、物流施設をエンジンに大きな成長を遂げてきた。当初は建築請負が中心だったが、自ら不動産賃貸業として物流施設を運営したり、土地の開発からはじめ自社で所有するなど徐々に業態を拡げていき、REITなどの出口戦略も拡充していった。「お客様の『困り事』」を解決するために、仕事のフィールドを拡大し続けてきた結果、現在のポジションを獲得したとも言えるだろう。
物流施設の複合化そして、医療・介護施設へ
これまでに物流専用ソリューション「Dプロジェクト」として自社で土地建物を所有し、開発してきた物流施設は全国で160棟以上。開発中のものも入れると230棟にも迫る勢いだ。
「最近は物流施設で流通加工をしたり、オフィス機能も加えたりするというように、複合的な機能を持つ物流施設へのニーズが高まっています。そうした複合機能の物流施設の場合、機械化、自動化を進めても相当な数の人手が必要になります。ある意味、大型の複合型物流施設建設は雇用と税収を生み出すことで、地域経済の活性化にも寄与するのではないでしょうか。
物流施設には、特定のお客様向けに開発するBTS(Build to Suit)型と多様なお客様が使えるマルチテナント型に大きく二分できますが、BTS型ではお客様との良好な関係が事業を支えています。何よりも、創業時から物流施設の開発を手掛け、お客様との強固なリレーションを構築してきましたから、しっかりニーズを汲み取り、つくり込んでいくことができるのです。契約期間も10~25年と長いので、極めて高い稼働率を実現できます。リーマンショックのような事態が起きても耐えられるように、BTS型とマルチテナント型の保有比率7対3は決して崩しません」と語る浦川氏は「備えて築く」という言葉を何度か繰り返した。
「当面の目標は物流デベロッパーとして業界1位になることです。さらに、事業ポートフォリオとして安定感を増すために、もう一つの主力分野であるシルバー関連施設の開発にも力を入れています。医療・介護施設や有料老人ホームを運営するグループ企業もありますし、病院の建て替え需要なども積極的に掘り起こしています。たとえば、工事期間中の代替地が見つからない、あるいは資金計画が立たないなどの理由で、病院は老朽化していても建て替えられないといった課題に直面しているケースが少なくありません。
そこで、多様なソリューションを用意して課題解決をサポートしていくのです。さらに地域創生と直結した工業団地開発にも取り組んでいますし、ベトナムやインドネシア、タイなどアセアン地域でも工業団地建設や物流施設開発を進めています」
体力があるときにこそチャレンジしていくことが必要
そう話す浦川氏は最後に「Dタワーシリーズ」という新しい事業にも触れた。高層ビル事業で、すでに西新宿や豊洲などで開発を計画中だ。物流施設とシルバー関連施設を核に新規事業や海外事業も拡大し、事業施設事業は第5次中期経営計画の3カ年で売上高を24.6%伸ばす高い目標を掲げている。投資額も増やす計画だ。
今、事業施設事業は好調の波に乗っている。だが、世界経済は不確定要素が多いことも事実。浦川氏は「だからこそ体力があるときにさまざまな分野にチャレンジしていくことが必要。今、この時期に、将来に備えて築くことが大事なのです」と強調する。
「備えて築く」つねに先の先を見据えた姿勢こそ、事業施設事業が急成長する大きな要因の一つなのではないだろうか。