経営戦略として考えるワークスタイル変革
特別協賛:日本マイクロソフト
基調講演
世界の構造転換と日本
~ビッグデータ、ICTが拓くマネジメントと働き方の進化
1966年に1億を超えた日本の人口は、2040年代後半に1億を割り込むと予想されている。日本総合研究所理事長の寺島実郎氏は「66年に7%、700万だった65歳以上人口が40年代には4割、4000万になります。この異次元の高齢化が問題。高齢者の社会参画の仕組み作りなどの課題が、働き方変革の底流にあります」と指摘した。
日本では、製造・建設業から、介護などのサービス業への産業間人口移動に伴い、失業率は改善したが、給与は00年から月額10~15万円程度下がったというデータを示した寺島氏は、観光産業でハイエンドのリピーターを取り込むなど、付加価値を高め、生産性を上げる戦略の必要性を強調。上向かない日本の実体経済に対し、堅調な米国経済を支える要素として、化石燃料革命とIoT(モノのインターネット)を挙げた寺島氏は、IoTの事例として、配車ビジネスや宿泊スペースを貸し出す人向けのプロジェクトなどの、米国における先行事例を紹介。「車がいつでも使える状態にあれば、保有は必要ではないというシェアリングの考えが日本にも入ってきています。あらゆる業態にIoT、ビッグデータの影響が及ぶ時代を迎え、企業はそれにどう立ち向かうのか。ワークスタイルの変革も含めた構想力が問われています」と訴えた。
協賛講演
ビジネスの成長をもたらす働き方変革
~発想の転換を実現した日本マイクロソフトの実例
高齢者数が若年層を上回る、つまり、働く人より支えられる人が多い人口オーナス期には、クリエイティブな発想でイノベーションを起こし、付加価値を生み出すことが求められる。日本マイクロソフト会長の樋口泰行氏は「これまでのように長時間、必死に働いてもイノベーションは起こせません。日本企業は、労働生産性を上げるために働き方を根本から変える必要があります」と訴えた。
その変革の事例になるのが、日本的企業の典型だった同社だ。月75万枚の紙のコピー、昼間の空席率60%という非効率なオフィス、男性の1.8倍に及んだ高い女性退職率、会議やメール依存によるコミュニケーション遅滞……。これらの課題に直面した樋口氏は、オフィスの引っ越しを機に、自ら旗振り役となって、働き方変革に取り組むことを決断した。変革のポイントは、組織間連携を促すコラボレーションの加速だ。
「製品開発部だけで開発する時代ではなく、お客のニーズをくみ上げ、ユーザーシナリオを作り、訴求ポイントを明確にしなければ、売れる製品はできません。さまざまな部門がかかわったプロジェクトほどイノベーションを起こす率が高いことも見えてきました」と、組織横断的なチームで動く必要性を強調。そのためのICTツールとして、相手の在籍を確認して、チャット、音声通話、オンライン会議ができるSkype for Businessによるコミュニケーションを実演した。