群雄割拠の"定額制音楽配信"市場に
ユニークな機能・サービスで挑む
2015年は日本にとって「音楽ストリーミング元年」であった。諸外国に比べCDの売上がいまだ大きく、音楽ストリーミングサービス不毛の地と呼ばれていた日本だが、昨年は国内においても立て続けにサービスが誕生。また外資系大手IT企業による音楽ストリーミングサービスも上陸し、その様相は様変わりしようとしている。
音楽ストリーミングサービスとは毎月定額の料金を支払うことにより、音楽を聴き放題で楽しむことができるサービスのこと。楽曲をダウンロードせずに文字通りストリーミングで再生して聴くのが特徴で、CDなどのパッケージを購入することなく安価で数多くの楽曲を楽しむことができることから、いま世界中で音楽の楽しみ方の主流となっている。
現在では日本においても数多くのサービスが乱立している音楽ストリーミングだが、KKBOXが他に先駆けてサービスをスタートさせ普及に貢献していたことはあまり知られていない。IT産業が発展する台湾で2000年に設立されたKKBOXは、2004年から社名を冠した音楽ストリーミングサービスをスタート。現在は香港やマカオ、シンガポール、マレーシアなどアジア各地へ事業展開し、日本では2011年からサービスを開始。現在の総ユーザー数は1200万人を超える。
これまでKDDIにおいて着うた®やLISMOといった音楽サービスを立ち上げ、2013年からKKBOX Japanの代表を務める八木達雄氏は「KKBOXによって新たな音楽体験を提供したい」と語る。そのためにKKBOXでは他の類似サービスとは異なる特徴的な機能や、音楽ストリーミングサービス以外にもさまざまな事業を展開する。
"ファンやミュージシャンと直接つながる"
KKBOXの提案する新しい音楽の楽しみ方
それでは早速、音楽ストリーミングサービス、KKBOXの機能を紹介していこう。まずは基本的な視聴機能について。KKBOXでは配信を行う1500万曲を超える楽曲の中から、選曲のプロによって編成された1000本を超えるプレイリストをそろえる。仕事中やエクササイズ中など、視聴環境に合わせた最適な音楽を簡単に見つけることができるのだ。また楽曲レコメンデーション機能では独自のアルゴリズムにより、ジャンルやテンポなどリスナーの趣味嗜好に合わせた楽曲を提供。楽曲だけでなくプレイリストやアーティスト、コラムなどさまざまな角度から新しい音楽との出会いを創出する。
楽曲の再生中には歌詞の閲覧も可能。音楽に合わせて再生中の箇所の歌詞がハイライトされて動くので、カラオケの練習などにも利用できる。音楽の視聴はスマートフォンやPC、タブレット、スマートウォッチなど、さまざまな機器に対応したマルチデバイス。一度再生した楽曲が4000曲まで自動でキャッシュされるのもKKBOXならではの魅力。通信量や場所を選ばずどこでもオフラインで音楽を楽しめるのもうれしい機能だ。
音楽の嗜好、流行は国によって異なる。そのためKKBOXでは楽曲の配信にとどまらず、効率を重視する他サービスでは見られないローカライズにも力を注ぐ。独自に取材・編集した音楽ニュースやミュージシャンインタビュー、特集などさまざまな音楽情報も楽しむことができる。またインターFMのラジオ番組と連動し著名人の音楽体験を掘り起こす「897 Selectors」や、ロンドンを本拠地に世界108都市39ヵ国でシティガイドを展開するタイムアウト東京とコラボレーションした音楽セレクト企画「TOKYO MUSIC BOX」など、リアルとバーチャルを融合させたさまざまな施策も展開している。
そしてKKBOX最大の特徴が、オンラインのユーザー同士で同じ音楽を聴きながらチャットを楽しめる「Listen with」だ。「Listen with」では人気ミュージシャンや著名文化人がKKBOXを使いながらリアルタイムで一般リスナーとつながることができる企画を定期的に実施しており、これまで秦基博や山崎まさよし、NICO Touches the Wallsなど数多くのミュージシャンが出演。ファンと共に楽曲を楽しむという音楽の「新しい楽しみ方」をつくり出してきた。
現地ネットワークを生かし、
ミュージシャンのアジア進出をサポート

企業としてのKKBOXは音楽ストリーミングサービス以外にもさまざまな事業を展開する。そのひとつが主催音楽イベント「KKBOX MUSIC AWARDS」だ。2016年で11回目の開催となる「KKBOX MUSIC AWARDS」は年間90億の再生やダウンロード、クリック数に基づいて選出されたミュージシャンが一堂に会する音楽イベント。毎年台湾で開催され、「アジアで最も影響力のある音楽イベント」とも呼ばれており、世界6カ国で生中継されている。昨年は台北アリーナで開催、1万人以上を動員した。日本からもこれまでにMay J.やPerfume、SEKAI NO OWARIなど著名ミュージシャンが駆けつけた。
他にも台湾においては独自に企画・編集した音楽誌「KKBOX Magazine」を発行。独占インタビューや特集記事など、KKBOXのネットワークを生かした紙面は現地の音楽ファンに親しまれている。
そしてKKBOX Japanの八木氏は日本のミュージシャンのアジア進出も積極的にサポートしていきたいと語る。「アジア各国にはJ-POPの熱烈なファンが多く存在するにもかかわらず、いまだに国外でもツアーを行うミュージシャンは少数です。台湾は、巨大な中華圏市場への流行の発信地。そしてKKBOXには現地で培ったネットワークと知名度がある。私たちが橋渡し役となり、アジアマーケットへのゲートウェイになっていきたいと考えています」(八木氏)。昨年12月にはSEKAI NO OWARI、今年1月にはONE OK ROCKの海外ライブをサポート。レコード会社や音楽事務所からの問い合わせも多く、反応は上々だという。
KKBOXの今後について八木氏は「音楽ストリーミングサービスにとどまらず、さまざまな形で新たな音楽体験の創出を行っていきたい」と語る。イベントやライブのサポート、グッズやチケット事業など既存の枠にとらわれることなく、多面的に事業を展開していく。それがファンやミュージシャンにとって幸せな体験を生み、音楽業界の活性化につながるからだ。
音楽ストリーミングサービス、KKBOXの利用は月額980円。初回登録時から1カ月間は無料で利用できる。ぜひKKBOXを通じて新たな音楽との出会いを楽しんで欲しい。
